唯一ノ趣味ガ読書デス

ハードボイルドや刑事モノばっかりですが、読んだ本をご紹介。

柴田よしきさんの「フォーディア・ライフ」を読む。

表の顔は保育園の園長先生。だが、破綻しかかった園を支えるため、

探偵という裏稼業でヤバい仕事を請け負い、時には押し付けられ、

今夜も街を駆けずり回る。ひよっとしたら、

日本で一番忙しい探偵なのかもしれない。

 

ヤクザや殺人も絡んで、私立探偵が新宿の街を疾駆する
物語だが、ゴリゴリのハードボイルドではない。

軽妙な文体と、時にはユーモアがにじむ会話、
子どもたちとのやり取りが温かく、
ハートフルミステリーかと錯覚してしまうことも。

新宿の無認可保育園「にこにこ園」の園長、
ハナちゃんこと、花咲慎一郎シリーズの1作目。

元捜査一課の刑事。だが、やむなく同僚を射殺してしまい、
仕事も家庭も何もかも失い、どん底の生活を続ける彼を
拾ったのが、ヤクザの妾の風見恭子だった。

彼女は、自ら営む保育園の後継者を探していた。

保育園に連れてこられ、子どもたちの笑顔を見た
ハナちゃんは、その日から園長先生になる道を選んだ。

園の利用客はホステスやシングルマザーなど、
訳アリの母親が殆ど。

保育料も格安なので、園の経営はいつだって
青息吐息。
そんなハナちゃんの足下をみて、
ヤバい仕事を押し付けてくるのが探偵事務所の社長、城島だ。

今回も家出少年と家出娘の二つの捜索依頼が、
ヤクザとのもめごとも絡んで、思わぬ方向へ
転がりだす。

スピーディーなストーリー展開、ハナちゃんに
降りかかってくるトラブルもてんこ盛り、、
怒涛の勢いで結末まで持っていかれる。

また、登場人物の背負った事情が丁寧に描かれ、
飽きさせない。

どのキャラも主役級で、それぞれを主人公にした
作品が描かれるのではと思うほど、魅力的だ。

特に、他で主役をつとめ、さまざまな作品にも登場する
「夜恐怖症」のヤクザ、春日組の山内が、
このシリーズにも顔を出し、ハナちゃんにちょっかいをかけ、
ひっかき回しているのが、面白い。

 

 

フォー・ディア・ライフ (講談社文庫)

フォー・ディア・ライフ (講談社文庫)