唯一ノ趣味ガ読書デス

ハードボイルドや刑事モノばっかりですが、読んだ本をご紹介。

川瀬七緒さんの「紅のアンデッド 法医昆虫学捜査官」を読む。

明るくて何事にもめげない、超元気印、

赤堀涼子の真っ黒な負の部分、いや核が初めて語られる。

 

今回は、前作までと環境が変化した。

 

これまでの実績が認められ(?)、

赤堀は警察の非正規雇用となり、

捜査分析支援センターという部署に属する。

 

そこには、他に、犯罪捜査の補助として、

心理学分野からプロファイラーの広澤や技術開発部の

波多野といった研究者も配属されてきた。

 

この新たに加わった「仲間」の人物像も、

なかなか興味深いものがあるが、

今回は、まずは紹介といったところか。

今後の三人の活躍も期待できる。

 

そして、赤堀、岩楯コンビは相変わらずで、

息の合った連係プレーを見せてくれるが、

さらに、ワニさんこと、鰐川刑事も久しぶりに再登場、

気心知れたチームだから、安心して見ていられる。

 

さて、事件は、東京都内の古い民家で、

凄まじい血痕と、切断された三人分の小指が

見つかったところから始まる。

 

その家に住む夫婦は行方不明。さらに残された小指から、

身元不明の被害者がもう一人いたことが判明する。

 

現場の状況もチグハグで、捜査は混迷していく。

 

そんな中、広澤の調査から、二十三年前にも似たような

現場の失踪事件が浮かび上がった。

 

アルコール依存症、菜食主義、カルトなど、

さまざまな仕掛けがちりばめられてはいるが、

やはり、虫たちの声を必死で聞こうとする

赤堀の努力が本流だ。

 

今回の真相解明にはウジやハエの出番が少なく、

その代わりにやけど虫なるものが活躍する。

 

これはかなりヤバめな虫だが、

ゆがんだ愛の結末へと赤堀たちを導いていく。

 

 

紅のアンデッド 法医昆虫学捜査官 (文芸)

紅のアンデッド 法医昆虫学捜査官 (文芸)