宮部みゆきさんの「三鬼 三島屋変調百物語四之続」を読む。
宮部みゆきさんの時代小説で活躍する女の子たちが好きだ。
おきゃんで、気が強く、ちょっとやそっとではへこたれない。
だが、心優しい彼女たち。
中でも、「ガンバレ」と応援に力が入ってしまうのが
「霊験お初捕物控」シリーズのお初。
賢くて、かわいくて、タフな女の子だ。
そして、「三島屋変調百物語」シリーズのヒロイン、
おちかも、忘れてはいけない。
もともと、川崎、旅籠の娘だったが、
辛い出来事があり、自らを責めて、前を向くことをやめてしまった。
そんなおちかを心配する江戸の叔父は彼女を引き取り、
そして、ある出来事をきっかけに、
江戸の怪奇話を聞き取る役目を、おちかに言いつける。
三島屋の「黒白の間」で繰り広げられる百物語。
聞いて聞き捨て、語って語り捨てが唯一のルール。
客は、他者には見せたくない、だが、一人で抱えているのは
辛すぎる、そんな物語を吐き出す。
この作品は、その4作目。
「迷いの旅籠」「食客ひだる神」「三鬼」「おくらさま」の
4編が収録されている。
悲しい、切ない部分がある語りの中で、
「食客ひだる神」は「あんじゅう」を思わせ、
愛おしい、ほのぼのとした感覚が心に残った。