大沢在昌さんの「夜明けまで眠らない」を読む。
元傭兵、今はタクシードライバー。
このギャップが、ああ、この作家さんのハードボイルドだ~と
ワクワクする。
戦場という非日常の世界と、
日本の都会という日常の世界。
二度とむこうには戻らないと思った男が
二つの世界の境界線を越えるとき、そこには
壮絶な覚悟がひしひしと感じられ、
心が痛くなる。
タクシー運転手の久我は、
かつて、民間軍事会社の傭兵として、
アフリカ小国、アンビアに派遣されていた。
そこで、危険極まりないゲリラに出会う。
彼らは、夜の闇に乗じて、敵の首を刈って
持ち帰るという一族だった。
朝、目覚めると、隣に寝ていたはずの
仲間の頭部が消えている、
そんなゲリラを相手にする恐怖で、
久我は夜、眠ることができない体になっていた。
ある日、久我は、久我の前歴を知っているような
そぶりを見せる客を乗せた。
その客は1台の携帯電話を車に忘れていく。
その日から、久我は、過去に帰らざるを得ない
事件に巻き込まれていく。
ヤクザ、ゲリラ、麻薬密輸業者が絡み合い、
大沢ハードボイルドは怒涛の勢いで
結末に向かう…。