香納諒一さんの「蒼ざめた眠り」を読む。
ハードボイルドだからといって、
いつもいつも、スリルやサスペンスがなきゃダメというわけではない。
ストーリーは静かに展開していっても、
登場人物の生き様が切なかったり、
心に深くしみ込んでいったりと、
そんなハードボイルドもアリだろう。
どうも、主役に心が添っていかない。
なんとなく、うわすっべりで眺めている。
どの登場人物にも共感しないし、
思いれを持てない。
主役も過去に挫折の経験があるようだが、
それがもたらす影、引きずることで深まる謎なんてものも
ないし…、
最近、この作家さんの「幸」を読んだが、
あちらは、登場人物がなかなか魅力的だったから…。
廃墟ばかりを撮影するカメラマンの辰巳は、
地方の廃ホテルで、ある女性ジャーナリストの絞殺死体を発見する。
彼は、ひょんなことから、殺害された女性の元夫で地元の新聞記者、安昼から
事件解決の手助けを頼まれる。
最初は乗り気ではなかった辰巳だが、
相棒以上恋人未満の不二子が何者かに襲われ、
意識不明の重体に陥ったことから、
本気モードで事件を追うことになる。