小島正樹さんの「扼殺のロンド」を読む。
密室モノである。
そういえば、最近、減った感のある
密室モノ。トリックが出尽くしたのか。
密室モノ=名探偵登場というイメージがベタ~っと貼りついて
しまっている。
「名探偵、皆を集めて『さて』と言い」と皮肉られる(?)
ように、その勿体ぶった感じが苦手だ。
だが、この作品。
二人の刑事コンビと一人の名探偵の三人のやり取りが
実に面白い。
刑事、小沢に名探偵、海老原がいじられるシーンも
ニヤニヤが止まらない。
最後は名探偵がきっちり、名探偵の仕事をするのだが、
それまでは、小沢と、そして海老原には「影が薄い」と
揶揄される笠木の二人が、
コツコツと地道な捜査を続ける。
それは、ワタシの好みであるフツーの警察小説の形態であることで、
安心して読み進められる。
トリックもツッコミどころはいろいろあるが、
ストーリー展開に勢いがあって、
うん、面白かった。
鍵のかかった廃工場の中、
壁に激突しドアがあかなくなった車の中で、
男と女が死んでいた。
女は扼殺された後、腹から胃や腸などの内臓が抜き取られ、
男は高山病を発症していたという。
さらに、二人の親族が次々に、密室の中で殺害されていく。
それも、扼殺という、同じ殺害方法で…。