人里離れた村の「匣」の中で、老女が口にする予言とは…。今村昌弘さんの「魔眼の匣の殺人」を読む。
クローズド・サークルものの代表作のように、
「そして誰もいなく…」なりはしなかった。
いや、いなくなる人数は予言によって
特定される。
前作「屍人荘の殺人」の冒頭のように、
比留子あての、班目機関にまつわる書簡から始まるが、
これが、誰から、何の目的で送られてくるのか、
それが明らかになるまで、このシリーズは続きそうだ。
前回はゾンビで、今回は予言。
論理的決着はつくのか。
比留子さんのからかいというか、言動に、
時折入る葉村のツッコミがユーモラスで、
ちょっとした息抜きになっている。
クローズド・サークルにおける事件発生の矛盾点という考え方は
興味深かった。
ただ、事件の組み立てに偶然性が入ったのは、
ちょっと…。
だが、結末は圧巻だった。
班目機関では超能力の研究も行われていたことが分かり、
その施設を探しに、葉村と比留子は人里離れた村にたどり着く。
そこにあった「匣」のような施設に、偶然か、必然か、
九人の人間が集まる。
そして、「匣」に棲む主、老女から、
「あと二日のうちに、男女二人ずつ、四人が死ぬ」という
予言が語られた。
その四人の中に、比留子と葉村は含まれるのか。
予言は現実のものとなるのか、
老女の正体は…。