誰もが、怪しく思えてくる…。前川裕さんの「コウサツ 刑事課・桔梗里見の囮捜査」を読む。
「説明臭」が、少々鼻につくが。
この作家さんの作品におなじみの、気味の悪い人物は現れず。
どちらかというと、正統の刑事モノで、個人的には面白かった。
そりの合わない相棒との捜査や新米刑事のジレンマなど、
設定としては、それほど目新しいものはなかったが、
一つ一つ積み上げるような捜査、推理で、
最後まで飽きることはなかった。
福生、吉祥寺、町屋で発生した女性の絞殺事件は、
被害者の年代もバラバラで、当初、単独のものと考えられていた。
だが、絞殺という手口、さらに、左利きと思われる痕跡、
そして、遺体に加えられた損害など共通する部分も多く、
連続絞殺事件と認定される。
本部には、武蔵野署の新米刑事、桔梗里見も召集された。
大学時代に講義を受けた教授の性癖、相棒の怪しげな言動、
上司の思いがけない不正行為など、謎が錯綜し、
誰もが怪しく思えてくる中、桔梗の捨て身の捜査が実を結ぶ。
そして、結末は…。
この作家さんならではの、着地の仕方、のように思える。