殺されたのは、〇〇ー〇人間…?横関大さんの「いのちの人形」を読む。
SFの匂いを加味した警察小説と、言ってもいいか。
不審死事件が発生する。
非番で、たまたま近くを通りかかった警視庁捜一の刑事、
川村は現場をのぞきに行くが、
謎の男たちが現れ、遺体を運び出してしまう。
彼らは、厚生労働省の外郭団体で、「ドールズ」と呼ばれる組織の
一員だった。
事件を横取りされた結果になった川村たちは、
そのやり口に不審を抱き、サイバー犯罪捜査官の高倉と、
謎めいた組織、「ドールズ」を追うことに。
「ドールズ」は、「”人形”を護るために作られた組織」、
そして「”人形”は七体いるらしい」ことがわかる。
人形とは何か。
ついに、「ドールズ」に接触した川村は、
二十八年前の日本で、ある分子生物学者の手により、
七体のクローン人間が生まれていたという、
驚きの事実を知ることになる。
さらに、そのクローンが一人ひとり殺されていく。
なぜ、クローンたちは殺されなければならなかったのか、
そもそも、なんのために、彼らは生み出されたのか。
納得のいかないところもありはしたのだが、
エンタメとして面白かった。
ただ、それほど強烈な個性の登場人物はいなく、
悪い奴も、いい奴も、なんとなくぼんやりしていて、
大きなテーマの割に、ヒリヒリ感は、あまりなかったが。
研究一筋の科学者は、時として暴走することもあるのだろう。
生命科学という特異な分野では、許されざることも多く存在するのかもしれない。
私たちが知らされていないだけで…。