唯一ノ趣味ガ読書デス

ハードボイルドや刑事モノばっかりですが、読んだ本をご紹介。

カフェのオーナーと小説家が、ストーリーを構築するように、幽霊にまつわる謎を解いていく…。河野裕さんの「つれづれ、北野坂探偵舎 心理描写が足りていない」を読む。

 

つれづれ、北野坂探偵舎    心理描写が足りてない (角川文庫)

つれづれ、北野坂探偵舎 心理描写が足りてない (角川文庫)

  • 作者:河野 裕
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2013/09/25
  • メディア: 文庫
 

 

 

ファンタジー?、ミステリー?

区別はつけられないが、とても不思議な魅力を持つ物語だ。

 

時には、泣きたいほど悲しく、

時には、胸の底にポッと灯がともるような…。

 

小説家、雨坂続と、元編集者で今はカフェ、

「徒然珈琲」のオーナー、佐々波蓮司、

二人の男が、幽霊にまつわる謎を解き明かしていく。

 

幽霊を視ることができる佐々波が、

探偵として謎を追って動き回り、

視ることのできない雨坂が、その謎をストーリーとして構築していく。

 

その絶妙な連携が、余計に、そのコンビ自体を謎めかす。

 

二人の会話には、多少、言葉遊びめいたところがあるが、

設定自体が異質なものだから、

異質だと受け入れてしまえば、

後は、すんなり、惹き込まれていく。

 

幽霊は未練を抱えてこの世にとどまる、と考える

佐々波は、その未練を果たさせるために動く。

 

ワタシは、実は、最近、大切な人を亡くした。

あまりにも突然、逝ってしまったものだから、

その人のいない世界で、途方に暮れている。

 

幽霊でもいいから、もう一度、会いたい、そう、願うのだが、

それは、こちらの自分勝手な願いなのだろう。

未練を残す幽霊にさせるのは、かわいそうだから。

 

舞台は神戸。

山の手にある北野坂で、二人の男が相手するのは幽霊。

 

小学校の図書室に出没する幽霊、「ほっしー」は、

生前、小学校時代に少しの間だけ親友であった

小暮井ユキを使って、何かを企んでいる…。