唯一ノ趣味ガ読書デス

ハードボイルドや刑事モノばっかりですが、読んだ本をご紹介。

奇妙な空き巣の死、連続わいせつ事件、そして三十年前の少女殺害に卯月枝衣子が挑む…。樋口有介さんの「礼儀正しい空き巣の死」を読む。

 

礼儀正しい空き巣の死

礼儀正しい空き巣の死

  • 作者:樋口有介
  • 発売日: 2020/03/11
  • メディア: 単行本
 

 

 

国分寺署の女刑事、卯月枝衣子の二作目だそうで、

う~ん、またもや、一作目をミスした…。

 

この作家さん、ルポライターの柚木シリーズが代表的だが、

女刑事が主人公の作品も他にあり、ワタシは、

この作家さんの女刑事モノは好きだ。

 

国分寺市に住む夫婦が旅行から帰ってみると、

見知らぬ男が浴室で死んでいた。

 

男は、家の窓ガラスを割って侵入しながら、

ご丁寧にそのガラスを補修している。

また、居間には、その男のものと思われる洋服が

きちんとたたんでおかれていた。

 

だが、死因は、心疾患で事件性なしとされる。

 

臨場した卯月の上司、金本は、その隣家が三十年前、

少女殺害事件の舞台となった家であることを思い出す。

 

そして、国分寺署ではそのころ、女性が襲われる事件が連続していた。

 

空き巣の死、女性を襲う事件、三十年前の少女殺害…、

一見、何の関係もなさそうな出来事が結びついていき、

もつれた糸が、少しずつ少しずつ解かれていく。

 

そのプロセスは、コツコツという言葉があてはまるように

刑事たちの捜査のたまものなのだが、

卯月の、オジサン刑事連中からは「超能力」と呼ばれる、

肝の鋭さが事件を解決へと導いていく。

 

結末に至るまで、二転三転し、なかなかにスリリングだ。

 

ただ、一作目からの縁なのか、

フリーライターの小清水柚香に捜査情報を

ベラベラとしゃべるのは、はみ出しすぎかと思うし、

作品に必要な気がしない。

 

こんなキャラ登場がなくても、刑事たちの捜査だけで、

十分楽しめるのだが…。