死者が蘇る病院…、天才科学者、最上友紀子、再び。中村啓さんの「SCIS 科学犯罪捜査斑 II~天才科学者・最上友紀子の挑戦~」を読む。
科学の絡む事件を扱う、科学犯罪捜査斑(SCIS)シリーズの二作目。
同じ病院で、死亡した人間が四人も生き返る、
「自分は死んでいる」と言い張る患者が続出する、
など、今回も、なかなか興味深いテーマが並んでいる。
小比類巻祐一を中心とした、SCISのメンバーが、
天才科学者の最上友紀子の頭脳を借りて、科学が絡む難事件を解いていく。
奇矯な言動の目立つ、天才科学者というと、
真っ先に、川瀬七緒さん描くところの、
法医昆虫学者、赤堀涼子を思い出す。
この「法医昆虫学捜査官」シリーズでは、
赤堀の変人ぶりがいかんなく発揮されるのだが、
彼女の、人間味あふれる、可愛げのあるキャラが十分に描かれ、
すぐに、好きになってしまった。
そして、こちらの最上だが、
決して、自己中で、ガチガチの科学者というわけではないのだろうが、
まだ、その魅力がなかなか見えてこない。
さらに、最上とコンビを組む小比類巻は、病死した妻への愛が大きすぎるあまり、
遺体のクライオ二クスを依頼してしまうという、
少々、共感し難い行動もあり、作品への引き込まれ度が薄い。
シリーズを追うごとに、魅力がジワジワと表に現れてくる…、
期待する。