もう一つの「ON 猟奇犯罪捜査斑・藤堂比奈子」。内藤了さんの「OFF 猟奇犯罪分析官・中島保」を読む。
もう一つの「ON 猟奇犯罪捜査斑・藤堂比奈子」。
こちらは、中島保の視点で描かれている。
つまり、「ON」と「OFF」は表と裏、裏と表である。
「ON」の方では、犯罪者の悪意が充満していたけれど、
それに逆らうように、比奈子の熱い思い、がんさんや
東海林、死神女史など、仲間との絆があたたかく、
それが救いとなっていた。
だが、「OFF」には救いがない。
比奈子が登場するまで、
胸クソ悪くなるような悪意が染み出し、
さらに、保の葛藤、絶望がどんどん膨らんで、
かなり息苦しい。
保側から描かれているので、
もちろん、捜査斑チームのほっこりするようなやり取りもない。
視点が変わることによって、全く別の面が浮かび上がるのかとも
思ったが、それもなかった。
それならば、この作品の意味は…。
そうだ、「OFF」に少しでも救いがあるとすれば、
結末に死神女史が登場し、保にかけた言葉だろうか…。