唯一ノ趣味ガ読書デス

ハードボイルドや刑事モノばっかりですが、読んだ本をご紹介。

「あなたを鬼にさせない」、春菜、そして隠温羅流の面々が、怨みに凝り固まった女の霊に対峙する…。内藤了さんの「畏修羅 よろず建物因縁帳」を読む。

 

 

畏修羅 よろず建物因縁帳 (講談社タイガ)

畏修羅 よろず建物因縁帳 (講談社タイガ)

  • 作者:内藤了
  • 発売日: 2020/11/13
  • メディア: Kindle版
 

 

 

 

このシリーズ、ホント裏切られない。

いやぁ、面白かった。

 

怨霊との戦いは、いつにもまして、生々しく、

凄まじい迫力。

 

今回、曳くのは大きな建造物ではなく、

人、一人を閉じ込めて守る箱だったが、

隠温羅流の男たちの全力、全集中に身震いする。

 

このシリーズの一作目を読んだとき、

高慢ちきで、鼻持ちならない、

なんて嫌な女が主人公なんだと思ったのが嘘のように、

「いい女」に成長した春菜。

 

そして、彼女に、「どんどん惹かれていった」と告白する仙龍。

 

その二人のシーンは、ついにここまで来たかと、

切なくなった。

 

「障り」を祓う隠温羅流導師は代々、四十二の厄年に、

命を落としてきた。

 

そんな宿命を断ち切ろうと、

春菜は仙龍のため、隠温羅流の謎に挑む。

 

その覚悟が、強固なものになっていくのが、

シリーズを追うごとに、伝わってくる。

 

 

古い建造物に封印された「障り」が、

長い年月を経て、暴れだすという、

これまでの因縁話から、今回は、直接的で、

より生々しい。

 

「俺を誰だと思ってるんだ」が口癖の、

高慢ちきで、権力主義者の最低男、

アーキテクツの新しい常務、手島が今回の元凶。

 

女性をモノ以下の扱いしかせず、

弄んで捨てる。

 

手島に捨てられ、狂い、自殺した加那が、

手島を呪い殺すため、やって来る。

 

アーキテクツ社に怪異が…、

黒く固まった長い髪が連日のように見つかり、

人の不審な影が目撃される。

 

誰が、何の目的で?

 

さらに、新しい常務、手島の周囲で不審死が続く。