やりたい放題の美人刑事、でも、中身はオジサン?竜めぐみが3つの事件の犯人を追い詰める。鯨統一郎さんの「ドラゴンリップ刑事・竜めぐみの体当たり捜査」を読む。
倒叙ミステリーというのは、初めから犯人が分かっているのだから、
犯人に至る謎解きよりも、刑事や探偵が事実を確かめ、推理を重ね、
追い詰めていく、それが醍醐味だ。
そういう点で言うと、追い詰めるスリリングな感じが、少々弱かったような。
主人公、竜めぐみのキャラの濃さばかりが目立ったような。
キャラ立ちのする女性刑事と、ちょっと気が弱そうな
若い男性刑事とのコンビ、嫌味たっぷりな上司と同僚、
こういう設定には、あちこちでお目にかかっているような。
それに、トリック(といえるほどでもなく)の薄さも。
実業家のパーティーに招かれたジャーナリストの遺体が、
転落した車から発見される(「唇よ、君を熱く語れ」)。
人型ロボット「アーマン」を制作する会社で、技術者が刺殺された。
「アーマン」には被害者の血が付いていたという…(「人形の家」)。
新市庁舎建設に反対していた市議会議員が、市庁舎のから
転落して死亡する。自殺という見方が大勢を占めたのだが…(「ブルーシャトウ」)。
竜が懐メロ好きという設定からか、
昭和歌謡曲のタイトルが…、それは懐かしかった。