人の心の奥には、自分でも飼いならせない魔物が潜んでいるのかも、しれない。高学歴、有名企業に働く女たちが辿り着いた処は…。前川裕さんの「魔物を抱く女 生活安全課刑事・法然隆三」を読む。
人の業の物語、なのか、
それとも、闇を内に抱く特定の人の話なのか。
連続殺人、デリヘル嬢、特異な性癖…、
これだけの材料が揃っているから、さぞや、おどろおどろしく
展開するのだろうかと思ったが、想像ほどではなかったような。
高学歴で、高役職、高収入の女性が、風俗の世界につかり、
さらには、路上で春を売るまでになる、
その心のあり様が、もう一つ、しっくりこなかった。
そうした性癖、気質、そして、特異な男に関わってしまったからだと言ってしまえば、そうなのだろうが。
もう少し、彼女を中心に据えてもよかったような…。
そして、主人公である、刑事・法然のキャラがぼんやりしている感じ。
もう少し、メリハリのある人物像だったら、よかったかな、と。
人の悪意や、闇や、異常さ、狂気が、もっとむき出しになるものと、
期待したけど…。