「袖すり合うも他生の縁」。新宿のバスターミナルから出ていく人、帰ってくる人。人との出会いって、ホント、不思議。大崎梢さんの「バスクル新宿」を読む。
舞台は、新宿の大規模バスターミナル。
(あそこ、だよね、南口の)
新宿から出ていく人、新宿に向かう人、
バスに乗り合わせた乗客や、ターミナルに居合わせた人々が関わる、
ちょっとした出来事や、事件。
駅や、バスターミナルが舞台になれば、
いろいろなドラマが生まれる。
帰ってくる人、出ていく人、
その人生が交叉し、接近し、そして離れていく。
これまで、ワタシも、数多くの空港、駅、バス停留所を
利用してきたけれど、
残念ながら(?)、一度として、利用客の人生と、
関わったことはない。
ましてや、それが自分の人生に影響するほどの事柄に
出会ったことなど。
ここに登場した人々は、あれほどの人の中の数人と
ある長さの時間を共有し、誰かのために心を砕き、
そして、その人のために行動する。
人との出会いって、摩訶不思議。
そして、なんて、濃密な時間を過ごしたのだろうと、
うらやましくもなる。
温かな文体で、
爽やかな読後感を届けてくれるのは相変わらずだ。