「狩りモード」発動。ピンク映画館から出勤する刑事、壬生が筋読みを始めると、真相が浮かび上がる。柏木伸介さんの「夏至のウルフ」を読む。
本の帯に、「ピンク映画館から出勤する破滅刑事。」とあったが。
「ピンク映画館から出勤」に興味は引かれたが、
「破滅刑事」という、暗いイメージはなかった。
どちらかというと、有能でまともな刑事で、
別に、それはそれで、がっかりするものでもない。
近頃、「ピンク映画館」なるものを殆ど見かけない。
そういえば、昔、ワタシの実家がある都市の駅前に、
一つあったなぁ。
映画館の前に貼られたポスターを、ちらちら横目で見ながら、
その前をそそくさと通り過ぎた、若いころの思い出。
「筋読み」に入る前、「狩りモード」なるものを発動し、
事件や謎に、目新しいもの、「おっ、そうきたか」というものはないが、
郷愁というか、柔らかで緩やかな空気が流れているような気がする。
それは、やはり、舞台になっている愛媛県警と、
そして、「ウルフ」と異名をとる刑事、壬生が属する所轄、
松山東署の刑事連中が話す方言に由来するものだろう。
都会の警察とは一味違う、ローカルの所轄の刑事仲間、
その独特なキャラも心地よい。