紙の専門家、紙鑑定士・渡部が挑む謎は、紙、フィギュア、コスプレ…? 今回の相棒は、フィギュア作家。歌田年さんの「紙鑑定士の事件ファイル 偽りの刃の断罪」を読む。
「紙鑑定士」シリーズの第二弾。
ミステリーでは、刑事や私立探偵は別として、
様々な職業の人物が、名探偵役を振られている。
そのたびに、その職業にまつわる情報、蘊蓄が、
ミステリー小説だから、それほどの量ではなくても
紹介される。
作品の面白さとは別に、その蘊蓄、情報は、
興味深いものもある。
これまでにも、薬剤、特許、昆虫。。。と、
専門知識が披露されるので、
興味を惹かれたら、掘り下げてみるのもいいのだろうに、
根っからの怠け者で、なかなか、知識は増えない。
このシリーズの主人公、渡部の職業は、紙鑑定。
紙鑑定士というのは、正式な職業名ではないらしいが、
紙を扱う商売の「紙屋さん」で、
「紙の専門家」といえるだろう。
で、どの業界でも、謎めいたことや事件が起こり得るのだろうということだが、
紙そのものが事件解明のカギになるわけではなく、
模型やジオラマ、フィギュアが重要な部分を占める。
前作では伝説のモデラー、今作ではフィギュア作家の助けを借りて、
渡部は、真相を追求する。
この連係プレーが、なかなか楽しいものになっている。
そして、何より、読みやすい。