唯一ノ趣味ガ読書デス

ハードボイルドや刑事モノばっかりですが、読んだ本をご紹介。

「髪が長く、ヘラヘラして軽薄」な印象に、騙されるのは犯人…。制服警官、狩野は「落としの狩野」と言われた刑事だった…。降田天さんの「偽りの春 神倉駅前交番 狩野雷太の推理」を読む。

 

偽りの春 神倉駅前交番 狩野雷太の推理

偽りの春 神倉駅前交番 狩野雷太の推理

  • 作者:降田 天
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/04/26
  • メディア: 単行本
 

 

 

犯人や犯罪関係者の目線から、物語は始まる。

変形した倒叙モノのか?

 

「名探偵」役は、交番勤務の制服警官、狩野なのだが、

どの犯人も、狩野から受ける印象を、

「表情にも口調にも締まりがなく、…

どこかヘラヘラしていて、軽薄な印象」と

描写する。

 

「名探偵」としての片鱗もみせず、

だが、犯人の言動の些細かと思われる齟齬を一つひとつ拾い、

軽い口調で、追い詰めていく。

 

この狩野、実は元刑事で、

「落としの狩野」と異名を取るほどだったのだという。

 

彼が制服警官になったわけ、そのきっかけとなった事件が、

五編の連作の最後の「サロメの遺言」で明かされる。

 

狩野も、なかなか興味深いキャラなのだが、

相棒の、「みっちゃん」こと、月岡も、

ワタシの興味をグンと引いた。

 

 

オジサンとひよりのチームワークは完璧、「メゾン ド ポリス」は不滅です…。加藤実秋さんの「メゾン ド ポリス 4」を読む。

 

メゾン・ド・ポリス4 殺人容疑の退職刑事 (角川文庫)

メゾン・ド・ポリス4 殺人容疑の退職刑事 (角川文庫)

  • 作者:加藤 実秋
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/11/21
  • メディア: 文庫
 

 

 

オジサン(おじいさん?)チームと、

ひよりとの関係性もますます深く、強くなっていく。

 

「メゾン ド ポリス」シリーズも、四作目。

 

ワタシたち読者も、彼らの個性に慣れ、

そして、何だか、愛おしくさえ思えてくる。

 

今作では、父親が「宇宙人にさらわれた」と訴える

少年を助ける一話に始まって、

迫田が殺人容疑をかけられる物語、

そして、夏目の生い立ちにまつわる、

「今明かされる四十三年前の真実」まで、

五編の連作短編。

 

だんだんと、オジサンそれぞれの事情が明かされ、

謎めいた出来事は清算されたり、

解き明かされたりしていく。

 

次作は、どうやら、伊達にからむ物語が読めそうだ。

 

一番、謎めいている、伊達っていう人物は…。

「メゾン ド ポリス」の、どんなストーリーが展開されるのか、待ち遠しい。

 

校長から突き付けられた課題は、「退校者ゼロ」。長岡弘樹さんの「風間教場」を読む。

 

風間教場

風間教場

  • 作者:長岡 弘樹
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2019/12/18
  • メディア: 単行本
 

 

 

これまでの「教場」とは、一味違う。

 

シリーズ初の長編ということもあるが、

警察学校の、「篩にかけ、不要な人材を落とす」教官から、

「退校者を出さない」教官に変化したことも、

その理由になるのか。

 

これまでのシリーズは、学生が軸となり、

風間は、圧倒的存在感があるとはいえ、

あくまでも、学生が主人公であった。

 

今作は、風間の目線が中心となり、

副教官の優羽子、さらにクセ者の校長、久光が加わることで、

風間の心象風景がよく見えた。

 

そのためか、冷静沈着、洞察力に優れ、だが、

厳しい眼を持つ鬼教官に

だいぶ、人間味が加わったような、

柔らかな雰囲気になったような気がする。

 

と言っても、これまでの鬼教官であっても、

学生に向ける視線には温かいものがあったのだが。

 

そして、結末の、久光とのやり取り…。

う~ん、「教場」シリーズ、

今作で一区切りなのだろうか。

 

だとしたら、寂しいのだが、

できたら、「刑事、風間」を読んでみたい。 #教場 #風間公親

 

 

警察庁のエリートが天才科学者の助けを借りて、先端科学が絡む事件を追う…。中村啓さんの「SCIS 科学犯罪捜査斑~天才科学者・最上友紀子の挑戦~」を読む。

 

SCIS 科学犯罪捜査班~天才科学者・最上友紀子の挑戦~ (光文社文庫)

SCIS 科学犯罪捜査班~天才科学者・最上友紀子の挑戦~ (光文社文庫)

  • 作者:中村 啓
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2020/01/31
  • メディア: Kindle版
 

 

 

天才科学者、最上友紀子と、警察庁のエリート、

小比類巻祐一の異色コンビが、

先端科学にまつわる難解な事件に挑む。

 

 

小比類巻が最上の助けを借りて、

新設されたSCIS(科学犯罪捜査斑)のメンバーを率いていくのだが、

男性の妊娠、AIロボットの殺人、脳内に埋め込んだ

マイクロチップによる殺人…、

どれもセンセーショナルなテーマで、

最初から引き込まれていく。

 

SCISのメンバーも、なかなかにクセモノ揃いなのだが、

まだ、一人ひとりの個性は、ぼんやりしている。

ま、普通の刑事臭を感じさせられるのは、

長谷部くらいか。

 

先端科学にまつわる事件だけに、

隠蔽されことが多く、

それが、少々、おさまりが悪い。

 

小比類巻の秘密がどうなるか、

続編はありそうだ…。

 

 

「完全犯罪完全指南」というファイルを手に入れた殺人者四人、完全犯罪は成功するのか…。深水黎一郎さんの「倒叙の四季 破られた完全犯罪」を読む。

 

倒叙の四季 破られた完全犯罪 (講談社文庫)

倒叙の四季 破られた完全犯罪 (講談社文庫)

  • 作者:深水 黎一郎
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2019/03/15
  • メディア: 文庫
 

 

 

「完全犯罪完全指南」という裏ファイルを手に入れ、

完全犯罪を試みようとする四人の物語。

犯人が殺人を犯す場面から始まる、倒叙モノで、

この裏ファイルが共通点となった、連作短編モノでもある。

 

だが、実際は、ちょっとしたミスから、

いずれも、警視庁捜査一課刑事、海埜に見破られるという、

考えてみれば、お粗末というか、この世に完全なものなど、

存在しないという…。

 

読み進めている中で、あ、これがミスになるんじゃないか、など、

こっちも粗探しになっていく。

 

人物のキャラよりもトリック重視だが、

読まされてしまう。

 

ただ、海埜と、甥の神泉寺瞬一郎には、

別のシリーズがあるそうだから、

そちらも読んでみようか。

 

結局は、探偵に軍配が上がるのだが、最後の、裏ファイル製作者の述懐は、

何となく、気持ち悪い。

 

 

う~ん、そう来たか…。相沢沙呼さんの「medium 霊媒探偵城塚翡翠」を読む。

 

medium 霊媒探偵城塚翡翠

medium 霊媒探偵城塚翡翠

  • 作者:相沢 沙呼
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2019/09/12
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

 

大・ど・ん・で・ん・返・し…。

 

オカルト的な味付けのある物語かと、最初は思ったが、

正真正銘の推理小説だった。

 

霊媒と称する美少女、翡翠と、推理作家の香月が

ホームズとワトソン的コンビで、

霊にまつわる謎を解明していく。

 

ん? 最近、霊が登場する物語を読んだばっかりだった…。

続くときは続く?

 

先に霊視ありきで、犯人が分かっている状況だが、

犯人を司法の場に引きずり出すため、

心霊を推理として論理的に構築していく。

 

ただ、すべてが伏線で、それは結末で回収される…。

 

実に、驚かしの作品だった。

 

カフェのオーナーと小説家が、ストーリーを構築するように、幽霊にまつわる謎を解いていく…。河野裕さんの「つれづれ、北野坂探偵舎 心理描写が足りていない」を読む。

 

つれづれ、北野坂探偵舎    心理描写が足りてない (角川文庫)

つれづれ、北野坂探偵舎 心理描写が足りてない (角川文庫)

  • 作者:河野 裕
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2013/09/25
  • メディア: 文庫
 

 

 

ファンタジー?、ミステリー?

区別はつけられないが、とても不思議な魅力を持つ物語だ。

 

時には、泣きたいほど悲しく、

時には、胸の底にポッと灯がともるような…。

 

小説家、雨坂続と、元編集者で今はカフェ、

「徒然珈琲」のオーナー、佐々波蓮司、

二人の男が、幽霊にまつわる謎を解き明かしていく。

 

幽霊を視ることができる佐々波が、

探偵として謎を追って動き回り、

視ることのできない雨坂が、その謎をストーリーとして構築していく。

 

その絶妙な連携が、余計に、そのコンビ自体を謎めかす。

 

二人の会話には、多少、言葉遊びめいたところがあるが、

設定自体が異質なものだから、

異質だと受け入れてしまえば、

後は、すんなり、惹き込まれていく。

 

幽霊は未練を抱えてこの世にとどまる、と考える

佐々波は、その未練を果たさせるために動く。

 

ワタシは、実は、最近、大切な人を亡くした。

あまりにも突然、逝ってしまったものだから、

その人のいない世界で、途方に暮れている。

 

幽霊でもいいから、もう一度、会いたい、そう、願うのだが、

それは、こちらの自分勝手な願いなのだろう。

未練を残す幽霊にさせるのは、かわいそうだから。

 

舞台は神戸。

山の手にある北野坂で、二人の男が相手するのは幽霊。

 

小学校の図書室に出没する幽霊、「ほっしー」は、

生前、小学校時代に少しの間だけ親友であった

小暮井ユキを使って、何かを企んでいる…。