2018-08-01から1ヶ月間の記事一覧
凄惨な現場に臨場する厚田刑事。 そして、彼と夫婦となった石上妙子の若き日の物語である。 警察官一家、夫婦と子供二人が刺殺されたあげく、 全員の心臓がくりぬかれる。 放射状に並べられた遺体の頭の上にそれぞれの心臓を置くという 通称、「魔法円殺人事…
日常にポロッ、ポロッと落ちている悲しみを 柔らかな布でくるむように拾い上げ描写する。 4つの連作短編。 ピッチャーとして輝いていたスター選手、倉沢修介は、 ある打席で死球を与え、相手の選手生命を奪った。 と同時に、立ち直るきっかけをつかめず、 自…
探偵を休業し、ミステリ小説専門の古本屋でバイト中の葉村は、 古本を引き取りに民家を訪れる。 押し入れにあった本を物色しようと体を突っ込んだとたん、 床を踏み抜き転がり落ちる。 転がり落ちた先には、なんと、白骨遺体があった。 白骨に頭突き、なんて…
北の国から新宿に一人の男がやってきた。 彼は、十年以上も前につぶれた暴力団、「田代組」のことを 聞きまわっている。 その男が動き回るにつれ、新宿の闇社会にさざ波が立ち、 やがて大きなうねりとなって、男たちを巻き込んでいく。 「狩人」シリーズの第…
<葉村晶>シリーズ、待望の新刊。日本一不運で、同じくらいタフな女探偵の物語。さて、今回は、どんな不運に見舞われるのか…。 で、やはり、のっけから不運をひっかぶり、 ああ、いつもの葉村シリーズだと、妙に安心してしまった。 ホント、裏切られない。 …
父は失踪。母はアル中。幼い弟に殺意を抱く小学生の美緒。過去に娘を誘拐され、未解決のまま年を重ねた元検事、永瀬。心に大きな傷を抱える二人が出会う。 父親は家族を捨て失踪。 母親はアル中で入退院を繰り返す。 幼い弟、充と、小学六年生の杉原美緒の唯…
ひねりのある仕掛けに、確かに、驚いた。 マンションの一室で中年男性のバラバラ死体が発見される。 胴体の下には大きな皿が置かれ、 ご丁寧にフォークとナイフまで用意されている。 さらに、頭部は電子レンジで「調理」されていた…。 (と、のっけから、グ…
相変わらず、男くささがムンムン漂ってくる作品だ。 ハードボイルドとは、冷たく乾いた生き様の物語と思いきや、 男たちが熱い思いを十分に見せつけ、 ずいぶん、ナニワ節じゃ、ないか。 昔、少年犯罪者を射殺したことで警察をやめ、千葉の漁師町に引っ込ん…
明るくて何事にもめげない、超元気印、 赤堀涼子の真っ黒な負の部分、いや核が初めて語られる。 今回は、前作までと環境が変化した。 これまでの実績が認められ(?)、 赤堀は警察の非正規雇用となり、 捜査分析支援センターという部署に属する。 そこには…
『刑事さん、孤独って何だかわかりますか。それは、ひとりっきりで話す相手がいないことじゃありません。自分が、誰か自分以外の人のために、何かして上げられる存在ではないと思い知ること』 人がたくさん集まる都会。 周りを多くの人が行きかい、喧騒にあ…
「求む、バカな人」。 OLだった女性が、ある奇妙な求人広告をきっかけに、 探偵という仕事を稼業にして、時には深く、 時には傍観者となって、他人の人生に関わっていく。 女探偵、藤森涼子シリーズが誕生した1作目である。 彼女が取り組む4つの依頼を描いた…
「警察の警察」、汚いマネをする者は、仲間だとて許さない。徹底した捜査で対象者を丸裸にする。 警察組織の膿を出す、「警察の警察」、人事第一課監察係、 通称「ヒトイチ」の物語で、3編の連作短編。 内部告発や、捜査情報の漏洩が疑われる事件などから 警…
実に重厚な作品だ。 登場する刑事たちは、根っからの刑事で、 職人だ。 ひとりひとりが捜査技術にたけ、その腕にプライドを持ち、 手の内を容易には明かさない。 そのプライドと、そして粘りの先に犯人の後ろ姿が見えてくる。 「犯罪被害者家族の集い」に参…