唯一ノ趣味ガ読書デス

ハードボイルドや刑事モノばっかりですが、読んだ本をご紹介。

爆弾は、東京中に仕掛けられた…?「スズキ」に翻弄される捜査官。彼の正体を掴み、爆発を食い止められるのか。

爆弾 作者:呉勝浩 講談社 Amazon 凄い物語だった。 「スズキタゴサク」とは、一体、何者なのか。 最後まで、その正体は明らかにされなかったのだが。 彼は、人間の「悪」を具現するものなのか。 それとも、「正」をひた隠しにしているだけなのか。 そもそも…

「ごぶさたぁ~、元気だったぁ?」。変わらぬ町、変わらぬ家族の風景がまた、戻って来た。小路幸也さんの「ハロー・グッドバイ 東京バンドワゴン」を読む。

ハロー・グッドバイ 東京バンドワゴン 作者:小路 幸也 集英社 Amazon 「東京バンドワゴン」シリーズの十七作目。 これくらい続くと、大きな変化が無くても、 取り立てて事件が起こらなくても、 読めてしまう。 息の長いシリーズの強みか。 このシリーズに触…

「のっぽのバンビ」が、犯人の巧緻な計画を崩す。女刑事、花房京子の犯人の追い詰め方は。香納諒一さんの「逆転のアリバイ 刑事花房京子」を読む。

逆転のアリバイ 刑事花房京子 作者:香納 諒一 光文社 Amazon 「花房京子」シリーズの二作目。 このシリーズは、初めから犯人がわかっている 倒叙形式が採られている。 この形式は、古くは「刑事コロンボ」、そして、 国内ミステリーでは「福家警部補」など、…

江戸庶民の暮らしを支える火消。「一人も死なせるな」、ぼろを纏った男たちの物語が熱い。今村翔吾さんの「羽州ぼろ鳶組」シリーズを読む。

火喰鳥――羽州ぼろ鳶組 (祥伝社文庫) 作者:今村翔吾 祥伝社 Amazon 夜哭烏――羽州ぼろ鳶組 (祥伝社文庫) 作者:今村翔吾 祥伝社 Amazon 今、はまりつつある物語がある。 これまで楽しんだ時代小説も、捕物一辺倒だったが、 江戸の火消し、このシリーズは面白い…

シリーズ第3弾の剣持は、眠らない。町弁の業務を引き継ぎ、夜の都会を走り回る。新川帆立さんの「剣持麗子のワンナイト推理」を読む。

剣持麗子のワンナイト推理 作者:新川帆立 宝島社 Amazon 「剣持麗子」シリーズの第三弾。 やっぱり、「いい人」じゃん、と思う。 そして、故村山弁護士の業務を引き継いだり、 クライアントの犬の面倒をみたり、 また、別の件で、クライアントの家の床下に …

お金至上の凄腕弁護士、剣持が、成功報酬・百数十億につられ、元彼の遺産相続をめぐる謎に挑む。新川帆立さんの「元彼の遺言状」を読む。

元彼の遺言状 作者:新川帆立 宝島社 Amazon TVドラマ化されると聞いて、 慌てて読んでみた。 濃厚なキャラの主人公、剣持麗子。 鼻っ柱の強さ、お金に対するスタンス、 相手が誰であろうと、行くときは行く押しの強さ、 こういう強めのキャラを持つ女性、 最…

ゾンビ、予言者、と来て、新たな敵は、巨人!剣崎比留子の推理は通用する?葉村は、ワトソンの使命を果たせるのか。今村昌弘さんの「兇人邸の殺人」を読む。

兇人邸の殺人 屍人荘の殺人シリーズ 作者:今村 昌弘 東京創元社 Amazon 「剣崎比留子」シリーズの三作目。 クローズドサークルを扱ったミステリーだが。 少々、異質だと思うのは、 シリーズの軸が、超人研究を行う班目機関の解明を 目的としているためか、 …

元マル暴の刑事と、「なりすまし」刑事の凸凹コンビ。蓮見の事件、一応の決着を迎えたかと思いきや。加藤実秋さんの「警視庁アウトサイダー3」を読む。

警視庁アウトサイダー3 (角川文庫) 作者:加藤 実秋 KADOKAWA Amazon 「アウトサイダー」シリーズの三作目。 日本酒密造などの事件を片付けながら、 いよいよ、蓮見の父親の事件が決着を見る。 でも…、 陰謀を仕掛けた黒幕は別にいて…、ということで、 まだま…

紙の専門家、紙鑑定士・渡部が挑む謎は、紙、フィギュア、コスプレ…? 今回の相棒は、フィギュア作家。歌田年さんの「紙鑑定士の事件ファイル 偽りの刃の断罪」を読む。

紙鑑定士の事件ファイル 偽りの刃の断罪 作者:歌田年 宝島社 Amazon 「紙鑑定士」シリーズの第二弾。 ミステリーでは、刑事や私立探偵は別として、 様々な職業の人物が、名探偵役を振られている。 そのたびに、その職業にまつわる情報、蘊蓄が、 ミステリー…

多くの人に愛でられる桜ではなく、ひっそりと咲く桜。桜星としての矜持を最後まで貫いた男、亀尾。そして、植木礼三郎が登場。神家正成さんの「深山の桜」を読む。

深山の桜 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ) 作者:神家 正成 宝島社 Amazon この作家さんの初読みが、「桜と日章」だった。 これが、植木シリーズの三作目だったので、 そこから、前へ前へと。 植木という、オネエ言葉を操る男は、 硬いイメージの自衛…

決着は目前か。うら交番のジンクスは、ケッペーや平野の運命はどうなる。内藤了さんの「TRACE 東京駅おもてうら交番・堀北恵平」を読む。

TRACE 東京駅おもてうら交番・堀北恵平 (角川ホラー文庫) 作者:内藤 了 KADOKAWA Amazon 「東京駅おもてうら交番」シリーズの七作目。 いよいよ、結末に近づいてきている。 今作の犯人の結末は、少々、消化不良で、 また、昔から続いているらしい「組織」の…

心が温まる、ばかりではない。犬と暮らすには、それなりの覚悟が必要…。近藤史恵さんの「シャルロットのアルバイト」を読む。

シャルロットのアルバイト 作者:近藤 史恵 光文社 Amazon 元警察犬、「シャルロット」シリーズの二冊目。 ペットを巡る、日常の、軽い、軽い謎解きで、 相変わらず、読みやすい。 でも、内容は、軽いばかりではない。 ペットも、生き物であるという大前提は…

「人間」検事の、それぞれの活躍。「正」も「悪」も一筋縄ではいかないが、事実に真摯に向き合う姿は爽やかだ。直島翔さんの「恋する検事はわきまえない」を読む。

恋する検事はわきまえない 作者:直島翔 小学館 Amazon 「転がる検事に…」の続編。 前作の主人公だった、久我周平、そして、 新米検事の倉沢、「特捜部初の女性検事」だった常盤などが、 今作ではそれぞれ、短編の主人公を務め、 それぞれの正義を追い求めて…

国際マラソンレースのランナーにテロ組織からの脅迫状が。特別編成チーム、MITのリーダー、下水流が挑むのは…。長浦京さんの「アキレウスの背中」を読む。

アキレウスの背中 (文春e-book) 作者:長浦 京 文藝春秋 Amazon 国際マラソンレースが東京で開かれる。 このレースは、賭けることができるもので、 日本版ブックメーカーの試金石の意味合いがあった。 レースの妨害を企む国際テロ集団から、優勝を期待される…

「困っている人には何かしてあげないと」、小五の咲陽は、「父親が家に帰ってこない」と言う同級生の小夜子を家にかくまうのだが…。天祢涼さんの「陽だまりに至る病」を読む。

陽だまりに至る病 (文春e-book) 作者:天祢 涼 文藝春秋 Amazon 前二作ほどの切なさは、感じなかった。 それは、この作品に登場する、小五の二人の女の子、 咲陽と小夜子が、なかなかのたくましさを備えているからだろうと思うのだ。 彼女らは、大人ではない…

マンホールに押し込まれた死体、街灯に吊り下げられた死体…、被害者は、すべて警察関係者だった。六本木の街に、何が起こっているのか。銀ジロウさんの「Darkness」を読む。

Darkness 作者:銀ジロウ 幻冬舎 Amazon 六本木警察署管内で発生した殺人事件の被害者は、 刑事だった。 遺体の口には、コカインが入ったビニール袋が 押し込まれていた。 その後、次々に警察関係者の死体が見つかり、 その口からは、必ず何かを暗示するもの…

新しいヒーローは、科学捜査鑑定人、氏家。古巣の科捜研を相手に、真実を追求する。中山七里さんの「鑑定人 氏家京太郎」を読む。

鑑定人 氏家京太郎 作者:中山七里 双葉社 Amazon シリーズものが多い作家さんの作品を読んだとき、 別作品の登場人物が、顔を見せてくれた時は、 嬉しくてたまらない気持ちになる。 この作品の場合、「ヒポクラテス」シリーズの光崎や、 千葉県警の高頭警部…

冷静な薬剤師、毒島さんと、ホテルマン、爽太との仲は…。今回は、漢方医学の話が盛りだくさん。塔山郁さんの「病は気から、死は薬から・薬剤師毒島花織の名推理」を読む。

病は気から、死は薬から 薬剤師・毒島花織の名推理 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ) 作者:塔山 郁 宝島社 Amazon 毒島さんシリーズも四作目。 この前、TVドラマの中で、クリプトコッカス症が登場した。 これ、このシリーズで、知識として仕入れていた…

人が隠す、心の奥底をどうしても、暴かざるを得ない。これは、癖なのか、性なのか。とんでもない探偵、みどりの、あくまでも苦い五つの物語。逸木裕さんの「五つの季節に探偵は」を読む。

五つの季節に探偵は (角川書店単行本) 作者:逸木 裕 KADOKAWA Amazon 装丁のホンワカとした雰囲気にだまされた。 悪い意味での裏切りでは、ない。 高校生から社会人へ。探偵の素質を持ったみどりが、 本当に探偵になって、仕事をこなしていく過程、 これは、…

型破りだが凄腕、大胆かつ緻密、特許侵害問題に立ち向かう女性弁理士、ニュー・ヒロイン登場。南原詠さんの「特許やぶりの女王 弁理士・大鳳未来」を読む。

特許やぶりの女王 弁理士・大鳳未来 作者:南原詠 宝島社 Amazon 弁理士という職業も、そして、特許というものに関しても、 全くと言っていいほど、知識がない。 それに、Vチューバ―に関しても。 仕掛けた罠にしたって、 知識があれば、もっと、楽しめたのか…

刑事たちの地道な捜査が始まる。女子大生の殺人事件が冤罪事件へ、そして少女たちの闇が…。穂高和季さんの「警視庁殺人犯捜査第五係 少女たちの戒律」を読む。

警視庁殺人犯捜査第五係 少女たちの戒律 (小学館文庫 ほ 14-1) 作者:穂高 和季 小学館 Amazon 正統派の刑事の物語といった感じ。 警視庁殺人犯捜査第五係の辻岡警部補を中心として、 ストーリーは展開する。 「筋読みの天才」でもなく、強運の持ち主でもなさ…

絶望していく子どもの物語、読み進めるにつれ、辛さが増す。だが、現実は、もっと残酷。天祢涼さんの「希望が死んだ夜に」「あの子の殺人計画」を読む。

希望が死んだ夜に (文春文庫) 作者:天祢 涼 文藝春秋 Amazon あの子の殺人計画 (文春e-book) 作者:天祢 涼 文藝春秋 Amazon 子どもたちが絶望し、死を選ぼうとする社会は、絶対変だと、 誰しも思ってはいるが。 現実の社会で、連日のように、小さい子の虐待…

いよいよ、完結。人を殺す悪夢とは、そして、フロイトが追い続けてきた謎は…?内藤了さんの「夢探偵フロイト ナイトメアの殺人実験」を読む。

夢探偵フロイト ナイトメアの殺人実験 (小学館文庫 C な 2-5 キャラブン!) 作者:内藤 了 小学館 Amazon シリーズ、完結。 「よろず建物因縁帳」シリーズ、そして、この「フロイト」シリーズと、 立て続けに完結した。 フロイトが追いかけ続けてきた、人を殺…

映画とは違う、結末を楽しめる。伝染するのは…。長崎尚志さんの「キャラクター」を読む。

キャラクター (小学館文庫) 作者:長崎尚志 小学館 Amazon 映像が先か、小説が先か。 ワタシは、映画を先に見た後で、 小説も書かれていると知った。 好きな作家さんで、おまけに、 「ほぼ映画と設定は同じだが、ストーリーは 大きく異なっている」という、作…

警視庁の底で、怪異の「処理」を行う異能の面々。新シリーズの始まりだ。内藤了さんの「桜底 警視庁異能処理班ミカヅチ」を読む。

桜底 警視庁異能処理班ミカヅチ (講談社タイガ) 作者:内藤了 講談社 Amazon この作家さんの新シリーズ(?)で、 期待大のところであったが。 初回から、登場人物のキャラが濃いのもそうだが、 幽霊、怪異、妖怪、因縁。。。盛りだくさんで、 とっちらかって…

何と、「博物館」から一歩外へ。館長の緋色冴子、関係者からの聞き取りがうまくできるのか?大山誠一郎さんの「記憶の中の誘拐 赤い博物館」を読む。

記憶の中の誘拐 赤い博物館 (文春文庫) 作者:大山 誠一郎 文藝春秋 Amazon 「赤い博物館」シリーズの二作目。 未解決事件の捜査資料を読んだだけで、 真相を解明してしまう緋色冴子。 二作目の今回、少々、違うのは、 完全なる安楽椅子探偵で、 「博物館」か…

念願の捜査一課、仙波班へ。だが、孤立した捜査は相変わらず。氷膳の心の雪解けは、いつ?久住四季さんの「異常心理犯罪捜査官・氷膳莉花 嗜虐の拷問官」を読む。

異常心理犯罪捜査官・氷膳莉花 嗜虐の拷問官 (メディアワークス文庫) 作者:久住 四季 KADOKAWA Amazon ついに捜査一課へ。 念願の仙波班に配属になった氷膳莉花。 相変わらず、人間関係を構築するのが苦手そう。 ま、自ら、心の壁を築き、どうしても人と距離…

昆虫の知識が半端ない、村のお巡りさんが大活躍。大自然の中でうごめく人の欲望の行きつく先は…。平野肇さんの「昆虫巡査 蜉蝣渓谷殺人事件」を読む。

虫の生態から事件の謎に迫る物語は、 真っ先に、川瀬七緒さんの「法医昆虫学捜査官」シリーズを思い浮かべる。 こちらは、九州の大分にある村の、 虫に詳しい駐在さん、向坊巡査が活躍するお話。 ある事件をきっかけに、向坊巡査と知り合う、 ライター、矢張…

なりすまし刑事、蓮見と、元マル暴刑事、架川。コンビの関係も徐々に本物に…。蓮見の事件の真相解明は、まだ遠い?加藤実秋さんの「警視庁アウトサイダー2」を読む。

警視庁アウトサイダー2 (角川文庫) 作者:加藤 実秋 KADOKAWA Amazon 「警視庁アウトサイダー」の続編。 なりすまし刑事と元マル暴刑事のコンビだが、 ギクシャクしていた二人の関係も、徐々にだが、変化してきたような。 だが、父親の事件を探ろうとする蓮…

葉崎に、一人の「悪意」がじわじわと広がり…。いつものように、苦味をともなった極上のミステリー。若竹七海さんの「パラダイス・ガーデンの喪失 葉崎シリーズ」を読む。

パラダイス・ガーデンの喪失 葉崎市シリーズ 作者:若竹 七海 光文社 Amazon 近頃、年のせいか、登場人物が次々と現れて、 くるくる場面転換していくストーリーが苦手になってきている。 それぞれがそれぞれの事情を抱え、人物が増えるごとに、 その事情も増…