国際マラソンレースのランナーにテロ組織からの脅迫状が。特別編成チーム、MITのリーダー、下水流が挑むのは…。長浦京さんの「アキレウスの背中」を読む。
国際マラソンレースが東京で開かれる。
このレースは、賭けることができるもので、
日本版ブックメーカーの試金石の意味合いがあった。
レースの妨害を企む国際テロ集団から、優勝を期待される日本のランナーに、
脅迫状が届く。
警察庁が設立した特別チーム、MITに、
警察の各部署から精鋭が集められ、
そのリーダーに、女性刑事、下水流(おりずる)が任命される。
テロとは無縁の部署で勤務してきた下水流は、
どうして自分が選ばれたのか、上の意図が見えない中、
それでも必死に、テロ対策、そして捜査を続ける。
国家の威信、スポーツビジネスの利権争い…、
現場の意思とはズレる上からの指示。
リーダーとして、悩みながら任務に挑む下水流の人間臭さが良いが、
中盤過ぎまでは、少々、盛り上がりにかけ、それほどの緊迫感もない。
マラソンのテクノロジーの話や、
「アキレウスの背中」を追うランナーとの交流、
下水流自身の過去の傷、仲間に対する思いなどで、
テロと戦う物語としては、ヒリヒリ感が物足りなかったような…。