唯一ノ趣味ガ読書デス

ハードボイルドや刑事モノばっかりですが、読んだ本をご紹介。

2018-12-01から1ヶ月間の記事一覧

宮部みゆきさんの「この世の春 上下」を読む。

この作品は、一編の壮大な冒険物語である。 大きな謎を解くために、石野織部、各務多紀、 田島半十郎、白田医師らが一つのチームとなり、 励まし、助け合う。 「闇を覗き込むと、闇に見つめ返される」という。 闇を直視してはいけない。 だが、この者たちは…

中山七里さんの「翼がなくても」を読む。

ストーリー展開は、やはり、流石だと思わされる。 だが、ひとつ、乗ってこない。 絶望と希望に翻弄される主人公の心のありようは、 ジェットコースターなみに、天から地へ、 地から天へ、だろうが、 どうしても、主人公に心が寄りそっていかない。 アスリー…

吉永南央さんの「花ひいらぎの街角」を読む。

小蔵屋のお草さんと、周囲の人々との 温かかったり、ちょっと苦かったりする交流を描いた 「紅雲町シリーズ」も六作目。 流れるような文章が心地よい。 リズミカルでありながら、急ぎすぎない。 お草さんの足取りに合わせるような。 一話一話、一字一句、大…

香納諒一さんの「刑事群像」を読む。

大河内、渡辺、石嶺といった刑事たちの活躍が 楽しみな捜査一課強行班七係「小林班」シリーズも三作目。 今回は、同じ捜一の中本班との合同捜査となる。 小林班のデカ長、大河内と中本班のデカ長、庄野との 連係プレーは読みごたえがある。 ただ、圧倒的迫力…

大沢在昌さんの「雨の狩人」を読む。

「北の狩人」「砂の狩人」「黒の狩人」と 生き残ってきた新宿署組対課刑事の佐江。 いつも、誰かの死を見届けてきた。 やはり、狩人シリーズの主役は佐江なのだ。 自らを「クソ刑事」と言いながら、 決してブレることなく、誰からの威しに屈せず、 悪い奴に…

柴田よしきさんの「青光の街(ブルーライト・タウン)」を読む。

ブルーライト探偵社本営業所の所長、草壁ユナは 雇われ所長である。 本業は作家。 この探偵社の所長だった高橋信三は、かつて草壁の担当編集者だった。 アレコレあって、高橋は出版社勤めを辞め、 探偵社を立ち上げた。 草壁は、体を壊した高橋から自分の後…

香納諒一さんの「完全犯罪の死角 刑事花房京子」を読む。

事実を一つ一つ丹念に確かめ、推理を構築し、 そしてまた、確かめる。 刑事は「ニコイチ」が原則だが、 彼女は一人で、粘り強く関係者の聞き込みに回り、 徐々に真実へと近づいていく。 それは、犯人にとっては、不安を増幅する崩壊への足音のようだ。 花房…

長沢樹さんの「月夜に溺れる」を読む。

なかなか面白いキャラ設定。 神奈川県警生活安全部に所属する真下は優秀な女刑事だが、 恋愛体質であるところが玉に瑕。 バツ二。相手はどちらも同じ警察官で、 それぞれとの間に一人ずつ子供がいる。 現在は、二度目の結婚でできた娘を引き取り、 子育て中…

大倉崇裕さんの「死神刑事」を読む。

異色の刑事がまた一人誕生した。 この作家さんが生み出した人気キャラの福家警部補とは、 別次元のキャラというか…。 似ているとすれば、 それは「何もかもお見通し」というところだ。 福家警部補にロックオンされたら、 どんな犯人も逃げ切ることは不可能。…