中山七里さんの「翼がなくても」を読む。
ストーリー展開は、やはり、流石だと思わされる。
だが、ひとつ、乗ってこない。
絶望と希望に翻弄される主人公の心のありようは、
ジェットコースターなみに、天から地へ、
地から天へ、だろうが、
どうしても、主人公に心が寄りそっていかない。
アスリートの負けず嫌いは知っているが、
そうでなければ、勝負の世界を生き抜いては
いけないのだろうが。
ただ、謎が解かれた後、主人公の意地、
性急さといったものに説明がつき、納得はできた。
それでも、やっぱり、なんか違うなぁという感じは
ぬぐえなかった。
犬養刑事と御子柴弁護士の共演、
もっと違うシチュエーションで、
そして、完全ミステリーで読んでみたかった。
オリンピックを目指すスプリンターの市之瀬沙良は交通事故に巻き込まれ、
片足を失ってしまう。
事故を起こした相手は、隣家に住む幼馴染の相楽泰輔だった。
相楽家は市之瀬家との和解交渉に弁護士をたてる。
その弁護士が御子柴。
スプリンターの夢を絶たれた沙良は、
絶望の中で毎日を過ごす。
ところが、泰輔が何者かに殺されてしまう。
捜査を進める犬養は、泰輔が起こした事故に
注目するのだが…。