シリーズ第3弾の剣持は、眠らない。町弁の業務を引き継ぎ、夜の都会を走り回る。新川帆立さんの「剣持麗子のワンナイト推理」を読む。
「剣持麗子」シリーズの第三弾。
やっぱり、「いい人」じゃん、と思う。
そして、故村山弁護士の業務を引き継いだり、
クライアントの犬の面倒をみたり、
また、別の件で、クライアントの家の床下に
もぐりこまされたり、と、
一体、何やってんの、結構、お人好しなんだ、とも思う。
ま、大山淳子さんが描くところの、猫弁ほどのお人好しではないが。
だが、そういう受け取り方は、間違っているというか、
剣持に失礼なのか。
作品の中で剣持も言う。
「他人に何が分かるというのだ」と。
人間は、そもそも多面なのだ。
善いことをしながら、悪いことをする。
その反対も、またしかり。
剣持も、幾つもの顔を持っている。
だから、「お人好し」の面が出てきても、
別に驚くことはない。
この作品が、第一作より好きだなぁと思うのは、
新しく登場する警官、橘がなかなかのぶっ飛びキャラだからだ。
第一作目では、剣持のキャラに圧倒されたが、
今作は、キャラの面では、剣持も橘に食われている。
だからか、剣持がかなりまともに見える。
今回は、眠らない街、新宿を舞台に、
まあ、眠らずに動き回るタフな剣持が見られる。
黒丑の背後にあるものにしても、
謎は解明されているわけではないから、
また、同じ人物たちの活躍が見られるのだろうと、
期待度は、ぐんぐん上がる。