思い出を探す探偵とは…?鏑木蓮さんの「ねじれた過去 京都思い出探偵ファイル」を読む。
思い出探しがテーマの、「思い出探偵」シリーズ二作目。
連作短編モノ。
また、やってしまった。
一作目を飛び越え、二作目から読んでしまった…。
探偵社のメンバーの関係性や、
それぞれの背景を読んでからのほうが、
すんなり溶け込めたかもしれないのに。
ま、それはそれとして。
人の思い出を探す探偵という設定は、なかなか興味深い。
元京都府警刑事の所長、実相を中心に、元看護士の
一ノ瀬由美、両親を惨殺された過去を持つ、橘佳菜子に
新メンバーを加えた第二弾。
遊園地に残されたカメラ、時代劇の斬られ役一筋の男の失踪、
カフェで倒れた記憶喪失の男、それぞれの編で、
メンバー一人ひとりが軸となり、物語が進んでいく。
思い出というものは、記憶とはまた異なるニュアンスで
語られる。
「楽しい」「悲しい」「辛い」…、さまざまな形容詞が
つけられるが、「思い出」という言葉には、
人が大切にしている何か、そんな意味が感じられる。
悲しい記憶、苦しい記憶であろうと、「思い出」と言ってしまうと、
郷愁めいたものを感じてしまう。
物語はすべてに、温かい人と人との関わりが描かれている。
それは、実相が語った、
「探偵社のみんなは、自分を励まし続けるために、
人を励ましているんだ」という言葉に集約されている。