唯一ノ趣味ガ読書デス

ハードボイルドや刑事モノばっかりですが、読んだ本をご紹介。

2020-01-01から1年間の記事一覧

新宿には、「鮫」がいる、そして、佐江もいる…。大沢在昌さんの「冬の狩人」を読む。

冬の狩人 狩人シリーズ 作者:大沢 在昌 発売日: 2020/12/18 メディア: Kindle版 やっと、帰って来た!佐江。 「新宿鮫」と同じくらい、心待ちしているのが、 この「狩人」シリーズだ。 ならばと、シリーズ一作目から読み返す。 中でも、「砂の狩人」、シリー…

一人の男の自殺が、死の連鎖を呼ぶ。友人の死の真相を追って、刑事・永瀬が命をかける。伊岡瞬さんの「赤い砂」を読む。

赤い砂 (文春文庫) 作者:伊岡 瞬 発売日: 2020/11/10 メディア: Kindle版 冒頭の、「電車飛び込み自殺」シーンから引っ張り込まれ、 そのままの勢いで、結末まで読み切った。 ヒーローでも、凄腕でもない刑事が、 同僚や上司から厄介者扱いされながら、 職、…

事務員の洋子が殺人事件の容疑者に…。事件の陰に、洋子、そして御子柴の過去が…。中山七里さんの「復讐の協奏曲」を読む。

復讐の協奏曲 御子柴礼司 作者:中山七里 発売日: 2020/11/10 メディア: Kindle版 御子柴シリーズの最新刊。 このシリーズを追っていると、 「心の中に獣を飼っている」御子柴の、向かうその先に、 何があるのか、ホントに気になるときがある。 彼が少年の時…

理屈なしに楽しめる、女性白バイ隊員の奮戦記。隊員たちの追跡シーンが、カッコいい…。佐藤青南さんの「白バイガール」を読む

白バイガール (実業之日本社文庫) 作者:佐藤 青南 発売日: 2016/03/25 メディア: Kindle版 新米の女性白バイ隊員、本田木乃美が主人公。 「すみません」が口癖の気弱で、「ヘタレ」として 描かれていた彼女が、事件に遭遇するうち、 一人前の隊員、いや、そ…

「夢売り」がうなされる悪夢は、少年がアイスクリームで溺死している、というもの。フロイトたちは解き明かせる?内藤了さんの「夢探偵フロイト アイスクリーム溺死事件」を読む。

夢探偵フロイト アイスクリーム溺死事件 (小学館文庫キャラブン!) 作者:了, 内藤 発売日: 2020/12/08 メディア: 文庫 「夢探偵フロイト」シリーズの四作目。 この作家さんのシリーズ作品、 「猟奇犯罪捜査斑」や「よろず建物因縁帳」などと比べると、 登場す…

新米弁護士、木村が任されたのは医療過誤訴訟だったが、患者の不自然な死に遭遇することに…。織守きょうやさんの「301号室の聖者」を読む。

301号室の聖者 作者:織守 きょうや 発売日: 2016/03/23 メディア: 単行本 新米弁護士シリーズの二作目。 主人公の木村は、相変わらずの大甘で、青臭い。 ま、まだ新米なのだから、青臭いのも仕方ないことか。 そして今回も、腹立つほど、関わった人物に感情…

「忙しい刑事なんか、なりたくもない」…、広報係なのに捜査に駆り出されて…。中谷航太郎さんの「刑事にだけはなりたくない 警務課広報係永瀬舞」を読む。

刑事にだけはなりたくない 警務課広報係永瀬舞 (角川文庫) 作者:中谷航太郎 発売日: 2020/08/25 メディア: Kindle版 刑事になりたいという主人公が多い中、 タイトルに惹かれて手に取った。 忙しい「刑事になんてなりたくない」いと思いながらも、 なかなか…

<龍の耳>とは…、手話通訳、荒井が遭遇する三つの事件…。丸山正樹さんの「龍の耳を君に デフ・ヴォイス」を読む。

龍の耳を君に (デフ・ヴォイス) (創元推理文庫) 作者:丸山 正樹 発売日: 2020/06/22 メディア: 文庫 前作にもまして、濃密な内容となっている。 そして、心に深くしみいる、刺さる場面が多かった。 「デフ・ヴォイス」シリーズは、その名の通り、 聴覚障害の…

新米弁護士を振り回す依頼人たち…、彼らは、強い意志で、欲しいものを手に入れた…。織守きょうやさんの「少女は鳥籠で眠らない」を読む。

少女は鳥籠で眠らない (講談社文庫) 作者:織守 きょうや 発売日: 2019/07/12 メディア: 文庫 この作家さんは、「記憶屋」という作品から入ったが、 どちらかというと、この新米弁護士シリーズの方が好きだ。 家庭教師として雇われた家の、15歳の少女に 淫行…

捜一の刑事が、「苦情処理係」に異動させられた?!だが、そこには事件の芽が…。鳴神響一さんの「刑事特捜隊「お客さま」相談係 伊達政鷹」を読む。

刑事特捜隊「お客さま」相談係 伊達政鷹 (小学館文庫) 作者:鳴神響一 発売日: 2020/11/06 メディア: Kindle版 捜査一課から左遷させられた先が、「苦情処理係」だとは。 斬新な設定で、期待感を持って読んだ。 ライトで読みやすいのは確か。 掃き溜めと言わ…

「職業ではない、生き方」…、探偵・佐久間公は、痛めつけられても、嗅ぎまわることをやめない。大沢在昌さんの「心では重すぎる」を再び。

心では重すぎる 上 (文春文庫) 作者:在昌, 大沢 発売日: 2020/07/08 メディア: 文庫 心では重すぎる 下 (文春文庫) 作者:在昌, 大沢 発売日: 2020/07/08 メディア: 文庫 佐久間公シリーズは、ハードボイルドの王道のようなものである。 法律事務所で調査員と…

プロファイラー、羽吹の、壮絶な過去が徐々に明かされてゆく…。アイダサキさんの「サイメシスの迷宮 忘却の咎」を読む。

サイメシスの迷宮 忘却の咎 (講談社タイガ) 作者:アイダサキ 発売日: 2019/04/18 メディア: Kindle版 子どもの頃、何者かにさらわれ、そのまま一年間、 行方知れずになり、その後、突然、無事に戻ってくるのだが、 その間の記憶がすっぽり抜け落ちている。 …

「あなたを鬼にさせない」、春菜、そして隠温羅流の面々が、怨みに凝り固まった女の霊に対峙する…。内藤了さんの「畏修羅 よろず建物因縁帳」を読む。

畏修羅 よろず建物因縁帳 (講談社タイガ) 作者:内藤了 発売日: 2020/11/13 メディア: Kindle版 このシリーズ、ホント裏切られない。 いやぁ、面白かった。 怨霊との戦いは、いつにもまして、生々しく、 凄まじい迫力。 今回、曳くのは大きな建造物ではなく、…

監察が舞台、一見噛み合わなさそうなコンビが、じわじわと面白い…。加藤実秋さんの「警視庁レッドリスト」を読む。

警視庁レッドリスト (小学館文庫) 作者:実秋, 加藤 発売日: 2020/11/06 メディア: 文庫 警察内部のあーでもない、こーでもないが主軸となる物語は、 シンドイかなと思ったが、面白かった。 刑事のコンビものは数多あるが、「警察の警察」と言われる監察が舞…

老人が連続して殺される、そして、遺体には必ず、将棋の駒が…。井上ねこさんの「盤上に死を描く」を読む。

盤上に死を描く (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ) 作者:井上 ねこ 発売日: 2019/02/06 メディア: 文庫 好き嫌いが、かなり分かれる作品だと感じた。 将棋ブームではあるが、誰もが気軽に入っていける世界でもないし、 ましてや、詰将棋という世界は、…

霊、憑依を、脳科学の力でねじ伏せる…、中井拓志さんの「ゴースタイズ・ゲート「イナイイナイの左腕」事件」を読む。

わけの分からない物語…。 だが、訳が分からない感覚をねじ伏せながら、 それでも、読まされてしまった。 大脳辺縁系、海馬、側頭連合野、前頭前野、脳梁障害、 半側無視、エイリアンハンド…、 脳にまつわる部位や事象が、次から次へと繰り出される。 長く続…

青春ミステリー、じゃなくて、やっぱり刑事モノ、だと思いたい。ヒキタクニオさんの「こどもの城殺人事件」を読む。

こどもの城殺人事件 (角川文庫) 作者:ヒキタ クニオ 発売日: 2016/10/25 メディア: 文庫 作品の紹介文に「青春ミステリー」とあった。 普通に、「青春ミステリー」と言ってしまうと、 明るく、切なく、だけど、爽やかな余韻があって…、 みたいなイメージがあ…

ぶきっちょな性格の智美が選んだのは、飼い主と暮らせなくなった老犬の最後を看取る仕事だった…、近藤史恵さんの「さいごの毛布」を読む。

さいごの毛布 (角川文庫) 作者:近藤 史恵 発売日: 2016/10/25 メディア: Kindle版 人と、ぶきっちょな付き合い方しかできない主人公、智美の 再生の物語である。 と同時に、事情があって「犬生」の最後を、 飼い主と共に過ごすことができなくなった 老犬たち…

誰が敵か、味方はいるのか、中国返還前の香港で「負け犬」たちが命をかけた戦いに挑む。長浦京さんの「アンダードッグス」を読む。

アンダードッグス (角川書店単行本) 作者:長浦 京 発売日: 2020/08/19 メディア: Kindle版 誰が敵で、誰が味方なのか。 瞬時でも油断すると、命を持っていかれる。 裏切りと、駆け引きと。 そんな状況が、スリル満点のヒリヒリする感覚を刺激し、 ページを繰…

殺人犯が殺されていく…、「セクメト」とは、そして、謎の少女の正体とは?太田忠司さんの「セクメト」を読む。

セクメト (中公文庫) 作者:太田忠司 発売日: 2015/01/30 メディア: Kindle版 設定や物語の展開が、少しずつ、どこかで読んだような、と、 思わされる作品だったが、テンポが良くて、 結構、前のめりで読み終えた。 殺人事件の容疑者が、刑事の張り込み中に惨…

老人の孤独死が数十年前の殺人につながる…、そして、一人の女の悲しい過去を片倉が追う。柴田哲孝さんの「黄昏の光と影」を読む。

黄昏の光と影 (光文社文庫) 作者:柴田 哲孝 発売日: 2016/02/09 メディア: 文庫 この作家さんの作品を、続けざまに読んでいる。 先日読んだ「赤猫」から戻る、片倉シリーズの一作目。 「赤猫」もそうだったが、このシリーズは、 現在の事件が過去の事件に繋…

伯父の死は本当に、自殺なのか…。私立探偵と酒と女と殺人と。柴田哲孝さんの「渇いた夏」を読む。

渇いた夏 (祥伝社文庫) 作者:柴田 哲孝 発売日: 2010/07/23 メディア: 文庫 殺人、酒、女。。。 そして、タイトルの「渇いた…」ときたら、もう、 ハードボイルドのおぜん立ては整った、という感じ。 物事を枠の外から眺めるような、主人公、神山健介の性格も…

コーダである主人公が手話通訳士として、ろう者の社会と、そして二つの殺人に関わっていく。丸山正樹さんの「デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士」を読む。

デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士 (文春文庫) 作者:丸山 正樹 発売日: 2015/08/04 メディア: 文庫 聴覚障がい者、そして、家族の中で唯一、聴者として 生まれた子ども、コーダ(Coda:Child Of Deaf Adults)としての アイデンティティ。 ああ、こんなにも知…

「女の人の声が聞こえるんです…」、心神耗弱?ではなく、オカルト色の濃い刑事モノ?、誉田哲也さんの「もう、聞こえない」を読む。

もう、聞こえない (幻冬舎単行本) 作者:誉田哲也 発売日: 2020/08/25 メディア: Kindle版 傷害致死事件、魅力あふれる刑事たちとくれば、 この作家さんお得意の警察小説で、 ストーリーの展開にワクワクしながら読み進めていたのだが。 (この作品の主人公に…

定年を目前にした刑事が、二十年前の放火殺人の真相に迫る。柴田哲孝さんの「赤猫 刑事・片倉康孝 只見線殺人事件」を読む。

赤猫: 刑事・片倉康孝 只見線殺人事件 (光文社文庫) 作者:哲孝, 柴田 発売日: 2019/12/10 メディア: 文庫 地味だが読み応え十分の作品である。 定年を目前にして閑職に回った刑事が、 昔手掛け、未解決のままの事件を掘り起こす。 所轄、石神井署の刑事、片…

もう一つの「ON 猟奇犯罪捜査斑・藤堂比奈子」。内藤了さんの「OFF 猟奇犯罪分析官・中島保」を読む。

OFF 猟奇犯罪分析官・中島保 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子 (角川ホラー文庫) 作者:内藤 了 発売日: 2020/09/24 メディア: Kindle版 もう一つの「ON 猟奇犯罪捜査斑・藤堂比奈子」。 こちらは、中島保の視点で描かれている。 つまり、「ON」と「OFF」は表と裏…

あの奇跡的「いい人」、猫弁が帰ってきた!大山淳子さんの「猫弁と星の王子」を読む。

猫弁と星の王子 作者:大山淳子 発売日: 2020/09/15 メディア: Kindle版 「猫弁」シリーズが帰ってきた! 思いがけなかったので、ホントに嬉しい。 ユーモアたっぷりの文体は健在で、 あちこちでクスリ、クスリとしてしまう。 猫弁こと、百瀬太郎の人に対する…

刑事と漫才師の二足のわらじを履く男(!)、トンデモな設定のアホらしさ。面白さがジワジワくる。田中啓文さんの「漫才刑事」を読む。

漫才刑事 (実業之日本社文庫) 作者:田中 啓文 発売日: 2016/10/06 メディア: 文庫 刑事と漫才師の二足のわらじを履く、くるくるのケンこと、高山一郎。 二足のわらじは、副業禁止の警察はもちろんのこと、お笑いの相方にも内緒で、 事件現場と舞台を行ったり…

生真面目な神崎と型破りな黒木、池袋署のお騒がせコンビが帰ってきた!横関大さんの「帰ってきたK2 池袋署刑事課 神崎・黒木」を読む。

帰ってきたK2 池袋署刑事課 神崎・黒木 作者:横関 大 発売日: 2020/09/03 メディア: 単行本(ソフトカバー) 池袋署のお騒がせコンビ、神崎と黒木が活躍する刑事モノの連作短編で、 「K2 池袋署刑事課 神崎・黒木」の続編。 ちょうど、ドラマ化されたものが…

三歳で亡くなった息子、良一を名乗る男がお草さんの前に現れた…、ざわざわする。吉永南央さんの「初夏の訪問者 紅雲町珈琲屋こよみ」を読む。

初夏の訪問者 紅雲町珈琲屋こよみ 作者:吉永 南央 発売日: 2020/08/28 メディア: 単行本 「紅雲町珈琲屋こよみ」シリーズの、はや、八作目。 和食器とコーヒー豆を販売する粋な店、小蔵屋を経営するお草さん。 緩やかで、優しい物語ではあるが、決してそれば…