唯一ノ趣味ガ読書デス

ハードボイルドや刑事モノばっかりですが、読んだ本をご紹介。

老人の孤独死が数十年前の殺人につながる…、そして、一人の女の悲しい過去を片倉が追う。柴田哲孝さんの「黄昏の光と影」を読む。

 

黄昏の光と影 (光文社文庫)

黄昏の光と影 (光文社文庫)

  • 作者:柴田 哲孝
  • 発売日: 2016/02/09
  • メディア: 文庫
 

 

 

この作家さんの作品を、続けざまに読んでいる。

 

先日読んだ「赤猫」から戻る、片倉シリーズの一作目。

 

「赤猫」もそうだったが、このシリーズは、

現在の事件が過去の事件に繋がっていく、

それも、何十年も前の、関係者の過去を辿るという設定が重なっている。

 

だからか、歴史をなぞるような感じで、

起きたての事件の犯人を追う緊迫感や、

目まぐるしく展開していく物語に伴うドキドキ感は薄い。

 

だが、地道な捜査は、実に地味な分、

片倉のこだわりや考え方に付き合い、

一つひとつピースがはまっていくジグソーパズルのように、

謎が解明されていく充足感がある。

 

そして、「赤猫」では刑事らしくなっていた柳井がまだ新米で、

片倉の後を必死でついていく姿が新鮮だった。

 

石神井署管轄内のアパートで、一人の老人、小切間清が孤独死した。

一見、事件性がなさそうな老人の死だったが、

その部屋に置かれたスーツケースの中から、女性の白骨死体が見つかる。

 

女性の身元を探る、片倉の長い捜査が始まる。