唯一ノ趣味ガ読書デス

ハードボイルドや刑事モノばっかりですが、読んだ本をご紹介。

2017-01-01から1年間の記事一覧

大崎梢さんの「スクープのたまご」を読む。

「記者のたまご」ではなく、「スクープのたまご」とは…。 大手出版社、千石社のPR誌に配属された日向子だったが、 2年ほどしてゴシップ記事満載の週刊誌に異動する。 以降、実にシビアで過激な週刊誌の取材仕事に立ち向かわざるを得なくなる。 悲惨な事件の…

玖村まゆみさんの「凸凹サバンナ」を読む。

このタイトル???って感じ。タイトルだけでは、 なかなか手に取ろうという気にならないだろう。 でも、どういうわけか、図書館で借りてきたのは、 玖村さんの作品だという、ただそれだけ。 玖村さんは、「完盗オンサイト」が面白く、注目していたんだけど…

樋口有介さんの「少女の時間」を読む。

相変わらず、美女に囲まれ、それぞれに振り回される柚木。 本人は大変だ、大変だと言いながら、顔からはニヤニヤ笑いが消えないんだろうな。 今回は、柚木を振り回す美女の中に、「枯葉色グッバイ」に登場した 女刑事、吹石夕子の姿があるじゃないか!! 樋…

吉永南央さんの「まひるまの星 紅雲町珈琲屋こよみ」を読む。

シリーズものは、面白いことがわかっているので、安心して読める。 珈琲豆と和食器を販売する雑貨店の店主、お草さんが活躍する「紅雲町」シリーズの5作目。 水が流れるごとく、砂粒がすべり落ちていくがごとくの文体で、 心になんのささくれも感じさせず、…

小路幸也さんの「マイ・ディア・ポリスマン」を読む。

シリーズ化しそうな予感はある。 初登場だからかもしれないが、この作家さんの他の作品と比べてしまうと、 登場人物のチャーミング度はまだちょっと、中途半端。 これから、どんどん、肉付けされ、 分厚くなっていけばいいのだが。 ほっこり感は相変わらず高…

大崎梢さんの「本バスめぐりん。」を読む。

この作家さん、やはり、うまいなと思う。 特に、本や図書館がテーマだから、もう、 面白がる気マンマンで、読み始め、あっという間に読んでしまった。 司書の若い女性のほうが主人公かと思いきや、 会社を退職して、第二の人生として、移動図書館「本バス め…

アイダサキさんの「サイメシスの迷宮 完璧な死体」を読む。

「偏屈で協調性がない。人の話を聞かない。上司の言うこともきかない。 自分の仕事以外は眼中にない。呆れるほど空気を読めない…」 もし、こんな人物が相棒だったり、上司だったり、部下だったり、 あるいは、自分の周りをウロウロしていたら…。 ただ、こう…

近藤史恵さんの「狼の寓話 南方署強行犯係」を読む。

変わり者だが切れ者の刑事と、新米刑事のコンビものはかなり多い。 このシリーズもその一つ。 少々扱いづらい女刑事、黒岩とコンビを組まされたのが、 南方署刑事課に配属されたばかりの會川圭司。 初出勤の日に臨場した殺人事件の現場で失神、おまけに大事…

中山七里さんの「ドクター・デスの遺産」を読む。

「お父さんはお医者さんに殺された」。 一人の男の子の訴えから、不気味な医師の姿が浮かび上がってくる。 頼まれて、次々と安楽死を行う人物。人呼んで、「ドクター・デス」。 犬養刑事シリーズの4作目だ。 患者の、のたうち回るほどの痛みと、それを見守る…

樋口有介さんの「捨て猫という名前の猫」を読む。

「彼女はたぶん魔法を使う」から始まった 柚木草平シリーズの9冊目。 柚木シリーズには、特に昔の探偵ものを思わせる 独特のセリフ回しがある。 例えば、「自分に都合の悪い話は聞かなかったことにする。 そうでなければこんな不愉快な人生を三十八年も、 つ…

安東能明さんの「聖域捜査」を読む。

ゴミ屋敷、下着泥棒、散骨、年賀状の未配達などなど、はじめは 些細と思われた事件が大きなものへとつながっていく。 この作品からは、事なかれ主義の上司のもと、 「生活安全特捜隊」の班長となった結城を中心とする班の 捜査への執念が匂いたってきて、連…

小路幸也さんの「札幌アンダーソング 間奏曲」を読む。

札幌が舞台。 刑事、仲野久、通称「キュウ」の目線で語られる、 札幌アンダーソングシリーズの2作目で、「変態性欲クラブ」にまつわる事件のその後。 軽い語り口調だが、描かれる事件は、女子高生の売春だったり、 変態性欲者がからんだ殺人だったり、むしろ…

安東能明さんの「ゼンカン 警視庁捜査一課・第一特殊班」を読む。

唸るしかない。事件の裏側に隠された真実を、その目が瞬時に見つけ出す。 その切れ者ぶりは、「スゴイ」という言葉しか見つからない。 誘拐や立てこもりといった現在進行形の事件に臨場し、 すぐれた能力で解決に導く警察官たち。 その一班に新たな係長とし…

横関大さんの「偽りのシスター」を読む。

楠見和也は、事件の容疑者であり元警官の甲斐を射殺してしまうが、 後輩の野口を身代わりにすることを強制され、受け入れてしまう。 その時から、和也は良心の呵責に苛まれ、苦悩する。 平凡なサラリーマンの兄、太一はリストラにあうが、 それを和也になか…

羽田圭介さんの「盗まれた顔」を読む。

見当たり捜査官。 最近、この設定が登場する作品をよくみかける。 見当たり捜査官は通常の捜査をしない。数百人という指名手配犯の顔を記憶し、 街を歩きながら、手配犯を見つけ逮捕する。その繰り返しだ。 だから、コツコツ調べ、推理し、犯人を追い詰める…

東直己さんの畝原シリーズ「熾火」「墜落」を読む。

大好物の、バツ一、子持ちの私立探偵、畝原シリーズだが、中でも「熾火」が大好きだ。 畝原は、ある晩、血だらけのTシャツを1枚だけ着た、幼児にも見える女の子を保護する。 彼女は戸籍を持たず、ずっと段ボール箱の中で虐待を受けてきた。そして、 腎臓を1…

森谷明子さんの「花野に眠る 秋葉図書館の四季」を読む。

「れんげ野原のまんなかで」に続く秋庭市立図書館物語の2作目。 5つの短編で構成されているが、それぞれのストーリーはつながっている。 新人司書の今居文子を中心に、物語は進んでいく。 児童書がたっぷり紹介され、本好き、図書館好きにはたまらない。 土…

吉永南央さんの「糸切り 紅雲町珈琲屋こよみ」を読む。

紅雲町珈琲屋シリーズの4作目。 雨の日、いわくありげな男が落とした手紙のようなものを拾おうとし、 黒い外車にひかれそうになったお草さん。その時、誤って電器屋の 店先にあったマスコットを倒してしまう。 その弁償を迫られたり、商店街の改装問題に巻き…

道尾秀介さんの「Staph スタフ」を読む。

この夏都という女性、なんか、とっちらかった性格の人だなと感じる。 なんで、自分を拉致した相手の手助けをしなきゃならんのだ、と、 前半はそんなことを思いつつ読んでいた。 そのとっちらかりで、いつのまにか事件の渦中にいる。 だが、このとっちらかり…

乃南アサさんの「風の墓碑銘」を読む。

音道と滝沢。 この二人は、コンビを組み、いわゆる相棒として捜査にあたる機会が多いのに、 どうも噛み合わない。 滝沢目線と音道目線でストーリーは流れていくのだが、相手を見る目がチグハグだ。 いい加減、心を通い合わせて、最強のコンビになってよ、と…

城平京さんの「名探偵に薔薇を」を読む。

一人の科学者が生み出した究極の毒薬。 それは、赤子の脳髄を材料にしたおぞましいものだった。 その毒薬の名を「小人地獄」という。 それから33年後、小人たちの復讐劇を描いた寓話が各メディアに ばらまかれる。その後、寓話をなぞった殺人事件が発生する…

乃南アサさんの「未練」「嗤う闇」を読む。

やっぱり、「女刑事 音道貴子」は最強の女性刑事モノの一つだ。 「未練」と「嗤う闇」を続けて読み返してみた。 って、ミステリーを何度も読み返すワタシって、どうヨ。 トカゲと呼ばれる機捜の隠密部隊での活躍を描いた「凍れる牙」、 人質にされ、過酷な状…

大山淳子さんの「光二郎分解日記 西郷さんの犬」を読む。

「相棒は浪人生」に続く、「光二郎分解日記」シリーズの2作目。 大山淳子さんは、解決まで時間がかかりイライラするミステリーを 「イラミス」と呼んでいる。 イライラするのは光二郎さんの言動ではない。前作を読んで、 光二郎さんはブレない人だとわかった…

中山七里さんの「連続殺人鬼カエル男」を読む。

渡瀬刑事が登場する、中山七里さんの「ネメシスの使者」を「立ち読み」した。 というわけで、そういえば、渡瀬が出てくる「カエル男」がウチにあったことを思い出し 読み返してみた。 ところどころ忘れていたこともあるけど、中山さんの作品はミステリーとい…

内藤了さんの「ON 猟奇犯罪捜査斑・藤堂比奈子」を読む。

藤堂比奈子との出会いは、TVドラマのほうが先だった。 今回、原作を読んで、ドラマでは藤堂比奈子のキャラにかなり手が加えられていた ことに驚いた。 原作の比奈子は、猟奇的犯罪現場の写真から目をそらし、 犯罪を憎み、被害者に寄り添い、親友の死に号泣…

逢坂剛さんの「宝を探す女」を読む。

逢坂剛さんの作品には、御茶ノ水、神保町界隈がよく出てくる。 「古今の多くの小説家が通いつめてきた神保町だが、この街への思い入れにおいて追随を許さないのが 逢坂剛である」と千街晶之さんが今作の解説に書いている。 ワタシが逢坂さんのファンである理…

貫井徳郎さんの「悪党たちは千里を走る」を読む。

悪党には違いないんだけど、 どこか間が抜けていて、お人好しで、憎めない詐欺師3人組。 金持ちをカモにしようとすれば邪魔され、 犬を誘拐しようとすれば、子どもにその計画を見抜かれる。 そんな3人のやりとりにクスッとしたり、スピード感ある展開に、 結…

相場英雄さんの「ガラパゴス」を読む。

上下2巻で、読み応えのある作品だった。 人間扱いされない派遣労働者、欠陥車隠し、トラブルの隠蔽など、日本経済、 製造企業、人材派遣会社が抱える問題、そして闇が凝縮されたミステリーだ。 警視庁継続捜査班の刑事、田川は、同期の鑑識課、木幡から 身元…

荻原浩さんの「噂」を読む。

10年位前の作品だが、色褪せず、面白く一気に読んだ。 「レインマンが出現して、女のコの足首を切っちゃうんだって。 でも、ミュリエル(香水)をつけていると、狙われない」。 口コミで広まったこんなうわさ通りの事件が起きる。 犠牲者は2人、3人と増え…。…

吉永南央さんの「ランタン灯る窓辺で」を読む。

あの、「紅雲町シリーズ」の作家さんである。 アパートメント・ストーリーズは、亡き祖母の代わりに、 大家業を押し付けられた(はじめは)司法浪人である瑞輝の、いわば、成長ストーリー。 アパートという、見ず知らずの他人が棲み暮らす一つの箱。そこを舞…