大崎梢さんの「スクープのたまご」を読む。
「記者のたまご」ではなく、「スクープのたまご」とは…。
大手出版社、千石社のPR誌に配属された日向子だったが、
2年ほどしてゴシップ記事満載の週刊誌に異動する。
以降、実にシビアで過激な週刊誌の取材仕事に立ち向かわざるを得なくなる。
悲惨な事件の被害者に「今のお気持ちは」とマイクを差し出す記者って、
「なんて、馬鹿な質問するんんだろ」と思ってはいたが…。
ゴシップ誌の記者の仕事にはさまざまな葛藤があり、
「馬鹿な」ことではないんだろうと、決して共感はしないが、
いろいろなものを抱えているんだろうと、思える余裕はできたか…。
意にそぐわない仕事であろうと、配属された以上は引かないという気持ちと、
現実のはざまで悪戦苦闘する日向子。
ただ、周りの先輩たちが、実に優しいのであります。
新米に対しては、嫌味をわざとらしく放射するというストーリーが多い中、
必要なことはきちんと教える、導くと、なかなかの善人ぶり。
そうした支えを受けて、懸命にくらいついていく日向子の根性もなかなかのもの。
ガセネタ、足の引っ張り合いが多い現場で、記事の質を落とさないという
本質を学んでいくのだ。