2017-01-01から1年間の記事一覧
羽野千夏は民俗学を専攻する大学院生。 昔話や口頭伝承研究のフィールドワークとして、グループホーム「風の里」に通い始めた。 そこは、認知症を患い、問題を起こす老人ばかりが集まる施設だった。 千夏はそこで、コミュニケーションのとれない一人の女性が…
七十五歳で、元理科教師の二宮光二郎。趣味は分解。 近頃、短期記憶があやしくなってきており、本人もそれを自覚している。そんな光二郎が、傷害事件の容疑者に…。 人の優しい目線があふれている。年のせいか、やさしさに触れると、すぐにウルウルしてしまう…
「木村くん」は、いつも彼を取り巻く彼女たちに ひっぱり回されている。 中学から高校までの、閉塞した日常の中でおきる ちょっと不可解な出来事たち。 青春モノといえば、甘くて、すっぱくて、 やるせなくって、そして少し熱いというのが相場だが、木村くん…
「皇居に侵入」という突拍子もないミッション。 ワクワク感、ドキドキ感、ヒヤヒヤ感など、 エンタテインメントに欠かせない要素がきちんと含まれ、一気に読んだ。 登場人物たちからは、体の芯が冷えるような悪意は感じられない。 「斑鳩」親子を不幸にした…
出だしは、いつも殺人の実行から…。 つまり、犯人がすでにわかっている、いわゆる倒叙ミステリーものと 初めて遭遇したのが「刑事コロンボ」だった(年がバレバレ)。 まあ、犯人が初めからわかっちゃうのなんて、どう、楽しめるんだろう、 って思ったのは最…
正義か悪か。 全盲の霊導師、能城あや子は相談者の悩みをぴたりとあてる。 しかし、それは、彼女を始めとするチームメンバーの力の結集だった。 個性的なメンバーがそれぞれの能力を使って、人の真実をあぶりだす。 ひとりひとりも、そしてチーム丸ごとも実…
女刑事の代表格といえばこの人。 乃南さんが描くところの音道貴子だ。 音道シリーズの中では、この作品が一番好きだ。 刑事として、女として、そして人間として、極限まで追い込まれた中で、救いの手をひたすら待つ。 そんな音道を、かつてコンビを組んだ滝…
女探偵が主人公の、究極のハードボイルド。 笹野里子は、女性を同乗させ自動車事故死した夫の後を継いで探偵となる。 実にタフでクール、おまけに超がつくほどのヘソ曲がり。 依頼人から話を聞いても、少しでも気に食わないところがあれば、「お気に召さない…