大山淳子さんの「光二郎分解日記 相棒は浪人生」を読む。
七十五歳で、元理科教師の二宮光二郎。趣味は分解。
近頃、短期記憶があやしくなってきており、本人もそれを自覚している。
そんな光二郎が、傷害事件の容疑者に…。
人の優しい目線があふれている。
年のせいか、やさしさに触れると、すぐにウルウルしてしまう。
人、生きものは究極の孤独な存在だ。
「ワタシ」は「アナタ」に、「アナタ」は「ワタシ」になれない。
「ワタシ」の中に誰かが入り込んで、「ワタシ」の思考を読み取ってくれたとしても、
「アナタ」の思考にはならない。
そんな、限界のない孤独の中にいる生き物たち。
昔、「ウサギは寂しいと死ぬ」という話があった。
これは、間違いなのだそうだ。でも、人は寂しすぎると死ぬ、と思う。
孤独の中で生き延びていくには、その孤独を受け入れる強さを持つか、
少しでも、人とつながって、そのやさしさに触れて、孤独を薄めていくしかないと思うのだ。