道尾秀介さんの「Staph スタフ」を読む。
この夏都という女性、なんか、とっちらかった性格の人だなと感じる。
なんで、自分を拉致した相手の手助けをしなきゃならんのだ、と、
前半はそんなことを思いつつ読んでいた。
そのとっちらかりで、いつのまにか事件の渦中にいる。
だが、このとっちらかりは、誰もが体の内に持っているもののような気もしてくる。
さらに、夏都は、自分のとっちらかりに気付いており、
後からでも、とっちらかったもの一つ一つにきちんと向き合っている。
さまざまな出来事が重なり合い、進んでいくが、
結末こそが一つのドラマであり、最も大切な部分であり、痛みを感ぜずにはいられない部分である。
離婚したばかりの夏都は、夫婦でやるはずだった移動デリを意地で始め、
まあ、何とか続けている。
そんなある日、一人の男に車ごと拉致され、思いがけない事件に巻き込まれ、
いや、自分から飛び込んでいくのだ。