吉永南央さんの「糸切り 紅雲町珈琲屋こよみ」を読む。
紅雲町珈琲屋シリーズの4作目。
雨の日、いわくありげな男が落とした手紙のようなものを拾おうとし、
黒い外車にひかれそうになったお草さん。その時、誤って電器屋の
店先にあったマスコットを倒してしまう。
その弁償を迫られたり、商店街の改装問題に巻き込まれたり。
でも、お草さんはいつも冷静で思慮深い。自らの分をわきまえている。
読んだ後にいつもほっこりしてしまうシリーズ。落ち着く。
地域の人々の交流を扱ったミステリーを読むにつけ思う。
人とのつながりを欲しながら干渉を嫌う現代社会で、
「お節介」はどこまでアリなのだろうかと。
手を差し伸べようとしても「余計なお世話」で拒否される、
そういうことは多々あるが、お草さんのように、
人との「よい塩梅」の距離を保ちながら、気にかけてくれる人がいたら、
とても心強いのかもしれない。