城平京さんの「名探偵に薔薇を」を読む。
一人の科学者が生み出した究極の毒薬。
それは、赤子の脳髄を材料にしたおぞましいものだった。
その毒薬の名を「小人地獄」という。
それから33年後、小人たちの復讐劇を描いた寓話が各メディアに
ばらまかれる。その後、寓話をなぞった殺人事件が発生する。
そして、名探偵が呼ばれるのだ。
その推理力で数々の事件を解き明かし、「名探偵」と呼ばれてきた女性、瀬川。
しかし、彼女は名探偵であったがゆえに、妹を死に追いやったという
暗い過去を持つ。
名探偵は彼女にとって職業ではなく、生き様。
名探偵であり続けることを自分の鎖とし、自らをがんじがらめにするのだ。
この作品は、毒薬「小人地獄」をめぐるストーリーの2部構成になっている。
1部は2部の序章として機能し、そして結末は、名探偵を叩きのめすものであった。