通信指令室にかかって来た通報だけで、事件を解決?新しい「安楽椅子探偵」モノ。佐藤青南さんの「お電話かわりました名探偵です」を読む。
Z県警通信指令室の女性警官、君野いぶきが名探偵役をつとめるのだが、
視点として話を進めるのは、いぶきの隣に座る、
後輩の早乙女廉。
110番に掛かって来た通報だけで、事件の全容を明らかにしてしまう、
安楽椅子探偵型の警察モノである。
いぶきは、その並外れた推理力で、千里眼ならぬ、「万里眼」と呼ばれている。
通信指令室が設定と言えば、前に、耳の良い女性警官と、
刑事がコンビで活躍するテレビドラマがあったことを思い出す。
あっちのほうは、かなりシリアスだったが、
こっちは、名探偵と後輩クンとの恋模様のようなものもあり、
少々、グダグダしている。
何より気になるのは、後輩クンのヘタレ加減が半端ないことだ。
ウブというにはバカバカしいほどのキャラで、
そのくどくどとした言い訳めいた心の声を、延々聞かされるのは…。
後輩クンの立ち位置としては、名探偵の傍にいる、
いわゆるワトソン役なんだろうが、これじゃぁ…なぁ。
それに、いぶきのキャラが、まだぼやけていて、
感情移入しにくい。
シリーズ化されるとしたら、
後輩クンをもう少し、成長させて欲しいが…。