唯一ノ趣味ガ読書デス

ハードボイルドや刑事モノばっかりですが、読んだ本をご紹介。

「神探偵」と勘違いされ、ひょんなことから探偵の真似事をする羽目になった「紙鑑定士」。事件はどんどん、広がって…。歌田年さんの「紙鑑定士の事件ファイル」を読む。

 

紙鑑定士の事件ファイル 模型の家の殺人 (宝島社文庫)

紙鑑定士の事件ファイル 模型の家の殺人 (宝島社文庫)

  • 作者:歌田年
  • 発売日: 2021/02/04
  • メディア: Kindle版
 

 

 

ただ、淡々と、平坦な道を歩いていくようで、

ヒリヒリ感は無いなと思っていたら、後半過ぎて、

スーパーカー、「アヴェンタドール」ですっ飛ばし、

パトカーと追っかけっこする展開へ。

 

この、緩急というか、緩のあとの、急、急、急な流れが面白く、

読んだ後は、続きが出れば…と思った。

 

「紙鑑定」を仕事にしている渡部が主人公だが、

今一つ、キャラに面白味が感じられないままだった。

 

だが、途中で、伝説のモデラー、土生井が登場してから、

推理は彼の独壇場となり、渡部はすっかり、「名探偵」の助手役。

でも、それが、かえって、物語に弾みが加わった、と思う。

 

そして、後半で、渡部の元恋人、真理子さんが姿を現してから、

すっかり、彼女の魅力にはまってしまった。

彼女が光りすぎて、主人公なのに渡部がどんどん、

くすんで見えてくるくらいに。

 

紙に関する蘊蓄はあったが、

鑑定というほど、紙が事件のカギになるわけではなく、

この作品では、むしろ、ジオラマ(作品の中では、ディオラマだった)が

核となり、物語が広がっていく。

 

紙鑑定士として事務所を営む渡部だったが、

「紙鑑定」を「神探偵」と勘違いした女性から、

彼氏の浮気調査を頼まれる。

 

慣れない調査仕事を何とかクリアした後、

その女性の紹介で友人がやって来て、

失踪した妹を探してほしいと頼まれるのだが、

生き埋め殺人やら、人柱やら、多重人格やらが出てきて…。