一筋縄ではいかない問題が多すぎる…。刑事・犬養が挑む相手は、民間医療?新興宗教? 中山七里さんの「ラスプーチンの庭」を読む。
このシリーズは好きなのだが…。
「切り裂きジャックの告白」に始まる、
刑事・犬養隼人シリーズも、短編集も含み六冊目。
第一作の臓器移植から、子宮頸がんワクチン、
安楽死など、医療にまつわるさまざまな問題が扱われ、
病気の娘を抱える犬養の葛藤なども相まって、
「読ませる」作品ばかりだ。
今作では、高額な先進医療、民間医学、宗教といった、
やはり、一筋縄ではいかない問題が扱われているが、
もう一つ、突っ込みきれなかったような気がする。
結末も、あっさりしすぎたような…。
犬養の娘、紗耶香と同じ病院で闘病生活を送っていた少年が、
突然、退院していった。自宅療養に切り替えたのだという。
だが、そのすぐ一カ月後、少年の死が知らされる。
死因は病死で事件性はみられなかったが、
全身に奇妙な痣があったことが判明する。
不審を抱いた犬養は捜査を始めるのだが…。