「髪が長く、ヘラヘラして軽薄」な印象に、騙されるのは犯人…。制服警官、狩野は「落としの狩野」と言われた刑事だった…。降田天さんの「偽りの春 神倉駅前交番 狩野雷太の推理」を読む。
犯人や犯罪関係者の目線から、物語は始まる。
変形した倒叙モノのか?
「名探偵」役は、交番勤務の制服警官、狩野なのだが、
どの犯人も、狩野から受ける印象を、
「表情にも口調にも締まりがなく、…
どこかヘラヘラしていて、軽薄な印象」と
描写する。
「名探偵」としての片鱗もみせず、
だが、犯人の言動の些細かと思われる齟齬を一つひとつ拾い、
軽い口調で、追い詰めていく。
この狩野、実は元刑事で、
「落としの狩野」と異名を取るほどだったのだという。
彼が制服警官になったわけ、そのきっかけとなった事件が、
五編の連作の最後の「サロメの遺言」で明かされる。
狩野も、なかなか興味深いキャラなのだが、
相棒の、「みっちゃん」こと、月岡も、
ワタシの興味をグンと引いた。