唯一ノ趣味ガ読書デス

ハードボイルドや刑事モノばっかりですが、読んだ本をご紹介。

「髪が長く、ヘラヘラして軽薄」な印象に、騙されるのは犯人…。制服警官、狩野は「落としの狩野」と言われた刑事だった…。降田天さんの「偽りの春 神倉駅前交番 狩野雷太の推理」を読む。

 

偽りの春 神倉駅前交番 狩野雷太の推理

偽りの春 神倉駅前交番 狩野雷太の推理

  • 作者:降田 天
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/04/26
  • メディア: 単行本
 

 

 

犯人や犯罪関係者の目線から、物語は始まる。

変形した倒叙モノのか?

 

「名探偵」役は、交番勤務の制服警官、狩野なのだが、

どの犯人も、狩野から受ける印象を、

「表情にも口調にも締まりがなく、…

どこかヘラヘラしていて、軽薄な印象」と

描写する。

 

「名探偵」としての片鱗もみせず、

だが、犯人の言動の些細かと思われる齟齬を一つひとつ拾い、

軽い口調で、追い詰めていく。

 

この狩野、実は元刑事で、

「落としの狩野」と異名を取るほどだったのだという。

 

彼が制服警官になったわけ、そのきっかけとなった事件が、

五編の連作の最後の「サロメの遺言」で明かされる。

 

狩野も、なかなか興味深いキャラなのだが、

相棒の、「みっちゃん」こと、月岡も、

ワタシの興味をグンと引いた。