徐々に見えてきた、雨坂の過去と、佐々波や幽霊たちとの関係性…。河野裕さんの「つれづれ、北野坂探偵舎 著者には書けない物語」を読む。
前作より、言葉遊びが過ぎる? 、印象を受けた。
注意深く読んでいかなければ、時たま、迷子になる。
過去の出来事と、そして、これから起こりそうな出来事が
乱雑にまじりあい、シリーズ全体の物語を想像させるのだが、
あ~、分かりにくいと、息を吐くときもある。
物語の真意は、常に佐々波と雨坂とのやり取りの中にある。
つまり、真意は、二人にしかわからないのかもしれない。
ストーリーを構築する際に、佐々波のダメ出しがあり、
いったん、全てを崩し、そしてまた、立て直す。
もちろん、ワタシたち読者は、そのやり取りから、
「真意」なるものを探っていくのだが、
小暮井ユキのように、最後まで傍観者の立場を
取らされることもある。
そして、今回のゴースト、レイニーの役割は、
果たして何だったのか。
レイニーや、宵野ラン、大野、鍵谷…、
それぞれが、それぞれの役割を持ち、
舞台に登場しているのかどうかも、分からなくなる。
結局、ストーリーの構築の作業や意味は、
二人だけにしか、分からない。
置いてきぼりにされているような感覚は、
何度も味わわされるのだが、
それでも、謎めいたゴーストや、
ちょくちょく出てくる「紫色の指先」が
何を示すのか、徐々に輪郭が見えてきた、ような気がして、
どうしても、続きが読みたくなるのだ…。