唯一ノ趣味ガ読書デス

ハードボイルドや刑事モノばっかりですが、読んだ本をご紹介。

徐々に見えてきた、雨坂の過去と、佐々波や幽霊たちとの関係性…。河野裕さんの「つれづれ、北野坂探偵舎 著者には書けない物語」を読む。

 

つれづれ、北野坂探偵舎    著者には書けない物語 (角川文庫)

つれづれ、北野坂探偵舎 著者には書けない物語 (角川文庫)

  • 作者:河野 裕
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
  • 発売日: 2013/12/25
  • メディア: 文庫
 

 

 

前作より、言葉遊びが過ぎる? 、印象を受けた。

注意深く読んでいかなければ、時たま、迷子になる。

 

過去の出来事と、そして、これから起こりそうな出来事が

乱雑にまじりあい、シリーズ全体の物語を想像させるのだが、

あ~、分かりにくいと、息を吐くときもある。

 

物語の真意は、常に佐々波と雨坂とのやり取りの中にある。

 

つまり、真意は、二人にしかわからないのかもしれない。

 

ストーリーを構築する際に、佐々波のダメ出しがあり、

いったん、全てを崩し、そしてまた、立て直す。

 

もちろん、ワタシたち読者は、そのやり取りから、

「真意」なるものを探っていくのだが、

小暮井ユキのように、最後まで傍観者の立場を

取らされることもある。

 

そして、今回のゴースト、レイニーの役割は、

果たして何だったのか。

レイニーや、宵野ラン、大野、鍵谷…、

それぞれが、それぞれの役割を持ち、

舞台に登場しているのかどうかも、分からなくなる。

 

結局、ストーリーの構築の作業や意味は、

二人だけにしか、分からない。

 

置いてきぼりにされているような感覚は、

何度も味わわされるのだが、

それでも、謎めいたゴーストや、

ちょくちょく出てくる「紫色の指先」が

何を示すのか、徐々に輪郭が見えてきた、ような気がして、

どうしても、続きが読みたくなるのだ…。