「憑依作家」雨宮縁とは、一体、何者なのか…。内藤了さんの「スマイル・ハンター 憑依作家 雨宮縁」を読む。
この作家さん、よくもまあ、
次々に新しいキャラクターを生み出せること。
藤堂比奈子シリーズ(終了はしたが)、
よろず建物因縁帳、東京おもてうら交番、
夢探偵フロイト、微生物研究室…、
そして、今度は、憑依作家、だと。
いずれにしろ、登場人物たちの魅力が
じわ~っと伝わってくる、あるいは、読みだしてすぐ、
ガツンと心を持っていかれるのだが。
この作品は、主人公がつかみどころのないせいか、
あるいは、犯罪者めいた資質を隠しているせいか、
まだ、「心を持っていかれる」段階までいかない。
主人公の雨宮縁が、作品の半ばまで、
なかなか登場しないためか、
(主人公でいいよね?タイトルにも含まれているくらいだから)
はたまた、「憑依」しすぎているせいか、
実体がつかみにくい。
名探偵役が、これほどまでに謎めいているとは…。
ひょっとしたら、実在していないのかも、なんて、
見当違いな読みをしてしまう。
ともかく、続編に期待。
覆面のミステリー作家、雨宮縁は、
執筆作品シリーズの主人公になり切り、
人前に現れるため、「憑依作家」などと呼ばれている。
フリーの装丁デザイナー、蒲田は、
装丁用の写真を撮影中、心温まるような家族の風景を
目にする。
だが、後日、電車の人身事故に遭遇し、
死亡した男性が、その家族の父親だと知ってから、
奇妙な出来事に巻き込まれていく。