唯一ノ趣味ガ読書デス

ハードボイルドや刑事モノばっかりですが、読んだ本をご紹介。

一人の男の自殺が、死の連鎖を呼ぶ。友人の死の真相を追って、刑事・永瀬が命をかける。伊岡瞬さんの「赤い砂」を読む。

 

赤い砂 (文春文庫)

赤い砂 (文春文庫)

  • 作者:伊岡 瞬
  • 発売日: 2020/11/10
  • メディア: Kindle版
 

 

 

冒頭の、「電車飛び込み自殺」シーンから引っ張り込まれ、

そのままの勢いで、結末まで読み切った。

 

ヒーローでも、凄腕でもない刑事が、

同僚や上司から厄介者扱いされながら、

職、さらには命を賭して真相を追う。

 

約二十年前の、この作家さんのデビュー前に書かれた作品だということ。

 

感染症騒ぎで、世の中、ひっくり返った今だからこそか、

主人公である、永瀬刑事の、一人で突っ走る熱い思いも何もかも、

古さを感じることなく読めた。

 

コンビを組んだ、本庁の刑事、長谷川もいい味出していると思ったのだが、

肩透かし。

 

さらに、結末、永瀬の運命を読者に委ねるのは…。

 

阿久津という一人の男の自殺が、永瀬の同僚である鑑識の工藤、

阿久津が飛び込んだ電車の運転士、早山、私立探偵の斉田の自殺へとつながる。

 

自殺の連鎖に疑問を抱く永瀬は、あるウイルスが関わっていることを知る。