唯一ノ趣味ガ読書デス

ハードボイルドや刑事モノばっかりですが、読んだ本をご紹介。

大沢在昌さんの「新宿鮫 絆回廊」を読む。

これほど新宿という街が似合う男はいないだろう。一匹狼の新宿署刑事、鮫島。闇社会に生きる者はその存在を恐れ、彼を「新宿鮫」と呼ぶ。一刑事として街に巣食う悪と戦う彼がたどり着いた結末は、あまりにも切ない。

 

ワタシのハードボイルド、刑事モノの入門書と言って間違いない
「新宿鮫」シリーズ。

 

第1作目を読んだときは、そのキャラ、そして通り名の
「新宿鮫」ともども衝撃的だった。

そして、この10作目もそれを上回る衝撃を受けた。

 

鮫島は、「白髪の大男が警官を殺すために拳銃を
手に入れようとしている」という情報を掴む。

 

その男は殺人の罪で服役し、二十二年ぶりに出所したばかりだった。

 

狙われる警官とは誰なのか、鮫島はその男の素性や居場所を
追い始める。

 

その中で、暴力団と関係のある「金石(ジンシ)」という
残留孤児の二世などの組織が浮かび上がってくる。

 

彼らは、中国人と日本人の二つの顔を持ち、
社会に溶け込んでいるが、中国人マフィアや日本の
ヤクザをしのぐ狂暴かつ凶悪な集団なのだという。

 

一方で、晶がボーカルをつとめるロックバンド
「フーズ・ハニー」に薬物疑惑が持ち上がる。
最悪の場合、晶は鮫島との別れを決意するが…。

 

鮫島はこれまで、自分を理解してくれる上司の桃井、
鑑識捜査官の藪、そして愛する女、晶というわずかな
味方を支えに、新宿を起点とする犯罪に立ち向かってきた。

 

それだけに、彼らとの感情のやり取りがいつも
心に迫る。

 

だが、この作品では、そんな大切な二人を失う瀬戸際に
立たされるのだ。

 

新宿鮫シリーズは、闇社会、麻薬、中国人マフィア、ヤクザ、
殺人、男同士の友情…と、ストーリーはゴツゴツしている。


だが、その中で動き回る鮫島の物語は、
クールで泥臭くない。

 

それは、大事な人との絆や、まっすぐであろうとする
人の潔さが、殺伐とした命のやり取りの中で、
爽やかな感動を呼ぶからなのかもしれない。

 

この先、新宿鮫はどうなっちゃうんだろうか、
終わってしまうのかと、気をもんでいたのだが、
どうやら、新作の連載が始まるらしい。

 

う~ん、ホッとしたぁ。

 

 

絆回廊 新宿鮫?

絆回廊 新宿鮫?