新米警官、桐野を待ち受けていたのは、やる気のない、ごんぞう警官たちだった。だが、彼らの真意は…。佐野晶さんの「ゴースト アンド ポリス GAP」を読む。
「ごんぞう」と呼ばれる、警察官の風上にも置けないような、
やる気のない警官たち。
ごんぞう警官の吹き溜まりともいうべき
神奈川県にある鳩裏交番に配属させられた
新米警官、桐野。
その視点で物語は進む。
彼は、様々な理由で東大受験を諦め、
司法試験を諦め、そして、国家公務員試験に落ちた。
「このままでは済まさない」と思う彼は、
藤沢南署の副署長からある密命を受ける。
それは、スパイとなって、ごんぞうたちをやめさせる
粗探しをしろというもの。
勇んで乗り込んだ桐野は、ごんぞうたちの毒気にあてられるうち、
彼らの真の姿に気づいていく…。
デリヘル嬢行方不明、DV、下着泥棒、ホームレス連続殺人
といった事件に、彼らとともに対応するうち、
桐野はいつしか、彼らの側にいる。
小貫、斉藤、木本、高木、墨田など、ごんぞうに甘んじる、
いや、積極的にごんぞうであろうとする鳩裏交番のメンバー。
ごんぞうを決め込む彼らには、何かワケがあるのだろうと
思ったのだが…。
ごんぞう警官の本質は、普通の警察官である。
だが、本来の意味での、至極「まっとうな」警官だった。
決してヒーローではないが、
最も難しい道を選んだ彼らの芯には、
警官の原点である「正義のヒーロー」が存在していた。
桐野はいなくなったが、魅力たっぷりの
鳩裏交番のメンバーに、また、会いたいなぁ。