唯一ノ趣味ガ読書デス

ハードボイルドや刑事モノばっかりですが、読んだ本をご紹介。

新米警官、桐野を待ち受けていたのは、やる気のない、ごんぞう警官たちだった。だが、彼らの真意は…。佐野晶さんの「ゴースト アンド ポリス GAP」を読む。

 

 

ゴースト アンド ポリス GAP

ゴースト アンド ポリス GAP

  • 作者:晶, 佐野
  • 発売日: 2019/12/18
  • メディア: 単行本
 

 

「ごんぞう」と呼ばれる、警察官の風上にも置けないような、

やる気のない警官たち。

 

ごんぞう警官の吹き溜まりともいうべき

神奈川県にある鳩裏交番に配属させられた

新米警官、桐野。

 

その視点で物語は進む。

 

彼は、様々な理由で東大受験を諦め、

司法試験を諦め、そして、国家公務員試験に落ちた。

 

「このままでは済まさない」と思う彼は、

藤沢南署の副署長からある密命を受ける。

それは、スパイとなって、ごんぞうたちをやめさせる

粗探しをしろというもの。

 

勇んで乗り込んだ桐野は、ごんぞうたちの毒気にあてられるうち、

彼らの真の姿に気づいていく…。

 

デリヘル嬢行方不明、DV、下着泥棒、ホームレス連続殺人

といった事件に、彼らとともに対応するうち、

桐野はいつしか、彼らの側にいる。

 

小貫、斉藤、木本、高木、墨田など、ごんぞうに甘んじる、

いや、積極的にごんぞうであろうとする鳩裏交番のメンバー。

ごんぞうを決め込む彼らには、何かワケがあるのだろうと

思ったのだが…。

 

ごんぞう警官の本質は、普通の警察官である。

だが、本来の意味での、至極「まっとうな」警官だった。

決してヒーローではないが、

最も難しい道を選んだ彼らの芯には、

警官の原点である「正義のヒーロー」が存在していた。

 

桐野はいなくなったが、魅力たっぷりの

鳩裏交番のメンバーに、また、会いたいなぁ。