無自覚霊感女子、澪が配属されたのは、幽霊付き「訳アリ」物件を片づける部署だった…。竹村優希さんの「丸の内で就職したら、幽霊物件担当でした。」を読む。
ライトノベルっぽいが、なかなかに読ませる力を持った
作品だった。
主人公の澪は、無自覚ながら、霊感を持った女子で、
その力を見込まれ、一流企業の吉原不動産にめでたく入社できた。
花のOL生活かと思いきや、
配属されたのは、心霊現象が続発して
「訳アリ」となった物件を入居可能な状態に昇華させる部署、
「第六物件管理部」だった。
澪を迎えたのは、たった一人、
部長の長崎次郎。
実は、次郎も「訳アリ」人物で、
その正体は、吉原不動産の御曹司。
彼も霊が「視える」人で、
二人は別の部署のイケメンで、やはり視える高木と共に、
数々の恐ろしい霊たちに出会い、そして、
霊が抱える事情に寄り添いながら、昇華させていく。
霊憑き物件問題を解決していく物語と共に、
縦の糸では、次郎の兄、一哉の失踪問題も絡み、
それぞれのキャラも適度に濃く、適度に共感でき、
読みやすい。
エンタメそのもので軽いが、続きが読みたくなる、
そんな気にさせてくれる作品である。