サイコパスは普通の人間になれるのか…、殺人鬼が怪物、「脳泥棒」を追い詰める。倉井眉介さんの「怪物の木こり」を読む。
サイコパスの殺人鬼が、連続殺人犯を追い詰める。
設定は意表を突くもので、一気読みさせられた。
物語は、サイコパスの殺人鬼という、
裏の顔を持つ弁護士、二宮彰と、
事件を追う刑事、戸城嵐子の視点で進む。
斧で頭をかち割られ、脳が持ち去られるという
遺体が発見される。
さらに、同じような殺人が続く。
脳を盗んでいく犯人は、「脳泥棒」と呼ばれるようになる。
そして、二宮が「脳泥棒」に襲われるのだが、
脳を持ち去る犯人の狙いは?
ただ、設定の斬新さに引きずられ、二人の刑事、嵐子と乾、
そして二宮の人物像に、今一つ、迫力が感じられないし、
魅力もそれほど感じない。
視点が分散したことで、人物が薄まったのか。
というか、刑事二人は、余計?
どうせなら、サイコパス殺人鬼、二宮と
「脳泥棒」の一騎打ちでもよかった?
事件は済んでもスッキリしないのは、
全てが完結したわけではないからか。
合間に、「怪物の木こり」という昔話が挟まれ、
それが、二宮の過去とオーバーラップしていく。
木こりが怪物になったのか、怪物は木こりになれるのか。
サイコパスは、普通の人間になれるのか。
二宮の行く末、見てみたい気もするのだが…。