不可思議な謎を解き明かす、パントロジストと、その姪、なつみの活躍。樹のえるさんの「パントロジスト 三枝ジョーの終わりなき探求 <上下>」を読む。
パントロジストと名乗る青年、三枝ジョーと、
その姪、なつみが、ちょっと不可思議な依頼に応じ、
解明していく物語。
四編の連作と、そして縦糸に、
ジョーが面倒を見る少女、ソフィーの謎が織り込まれる。
上巻は、ライトな感覚のミステリーで、
サラッと読める。
アメリカに単身赴任した商社マンの父親がケガをし、
その看病で母親が渡米したため、
急遽、叔父であるジョーと生活をすることになったなつみ。
彼女の明るさが、とても気持ち良い。
ソフィーやジョーの複雑な生い立ちが絡む
縦糸の謎が下巻で解き明かされるのだが、
上巻の軽めで、ほんわかした謎解きとは対照的に、
下巻は雰囲気がシリアスで、重くなる。
そんな下巻にこそ、なつみの明るさが必要で、
もう少し、なつみが絡んできても良かったように思う。
それが惜しい。
また、パントロジストと、タイトルになってはいるのだが、
物語の中で、それほど印象を残さないのも、
重要な役割を発揮していないのも、気にかかる。