自由人の芸術探偵、瞬一郎、叔父の海埜刑事、そして濃いキャラの大癋見警部、個性派が勢ぞろい…。深水黎一郎さんの「エコール・ド・パリ殺人事件」を読む。
この作家さんは、先日読んだ「倒叙の四季。。。」が初読みで、
探偵役の海埜とその甥、神泉寺瞬一郎コンビの面白さに惹かれ、
「芸術探偵」(瞬一郎をそう呼ぶらしい)シリーズの一作目だという
こちらの作品を手に取ってみた。
自由人、(世間では変わり者と呼ばれそうだが)の
瞬一郎の洞察力と、海埜の、ワトソン的な役割の面白さ、
そして、傍からちょっかいをかける大癋見警部(こちらが
主人公の作品もあるようだ)の掛け合いも、
なかなかの見もの。
それぞれのキャラがかぶらず、
絶妙なバランスで、やり取りを楽しめる。
トリックが出尽くしたと言われる密室もの。
謎の解き明かしは、目を見張るというものではないが、
全体的な雰囲気が、クラシックな探偵小説を思い起こさせる。
それに、合間に挟まれる、エコール・ド・パリの
芸術家たちに関する解説、考察が興味深い。
芸術探偵シリーズ、追っかけたくなった。