唯一ノ趣味ガ読書デス

ハードボイルドや刑事モノばっかりですが、読んだ本をご紹介。

新婚夫婦が手斧で惨殺された。殺害された若妻の口には、結婚式場のパンフレットが押し込まれ…。前川裕さんの「酷 ハーシュ」を読む。

 

酷: ハーシュ

酷: ハーシュ

  • 作者:前川 裕
  • 発売日: 2014/02/21
  • メディア: 単行本
 

 

 

人の悪意や狂気の塊を描いた作品の多い作家さんなので、

どこに闇の落とし穴があるのだろうかと、

どうしても最初から身構えてしまった。

 

手斧による凄惨な連続殺人ではあるが、

普通の警察小説のように、前半は捜査の過程が

淡々と綴られる。

 

隣人の思いがけない狂気や、粘っこい悪意は

現れてこない。

 

だが、中盤(ま、このあたりから犯人の見当がつくのだが)から

一挙に狂気が押し寄せる。

 

この作家さんの得意とするところだ。

 

ただ、アイピローの問題とか、公衆電話からの着信問題とか、

伏線かと思う問題があいまいなままで、

登場人物の「すべてがはっきりすることなどはほとんどない」という

セリフで片付けられるのは…。

 

些細な謎なのかもしれないが、提示する謎は解明し、

伏線はすべて回収して欲しい。

 

新婚夫婦が手斧で惨殺される。

殺された新妻の口には、結婚式場のパンフレットが

突っ込まれ、猟奇的犯罪に仕上がっていた。

 

捜査に進展のないまま二年が過ぎ、

警視庁捜査一課刑事、手塚は、病欠の出た捜査本部に配属された…。